災害時の食事と野菜不足の課題
災害が発生した際、避難所で提供される食事は、おにぎりや菓子パン、アルファ米など主に炭水化物に偏りがちです。これにより、患者や障害者を含む多くの人々にとって、十分な野菜やたんぱく質を摂取することが難しくなってしまいます。このような状況を鑑み、『Vege-Can』という缶詰の開発が進んでいます。
背景とプロジェクトの誕生
『Vege-Can』の開発には、大阪府八尾市にて農産物の宅配と移動販売を手掛ける80831(ヤオヤサイ)が関与しています。このプロジェクトは、平成30年に発生した台風21号の被害を受けた元大阪府職員が、災害時に十分な食支援が行えなかった無力感を感じたことが起点でした。彼は「被災したときでも美味しさを感じれる食事を届けたい」という願いを持ち、未利用野菜を用いて“温めずに食べられる野菜料理の缶詰”を作るプロジェクトに取り組んでいます。
地域連携と新たな非常食の形
この缶詰、『Vege-Can』は、農家や福祉施設、飲食店と連携し、「地域で育った野菜を、地域で加工し、地域に備える」という新たな非常食の形を提案しています。現在、クラウドファンディングを通じて商品化を目指している段階です。
野菜不足がもたらす問題
災害時には、ライフラインが途絶え、食事がエネルギー補給のみに偏ることが多いです。その結果、野菜不足が続くことで体調不良や免疫力の低下を引き起こす可能性があります。さらに、被災生活のストレスや精神的ダメージを軽減するためには、「美味しい食事」が心を支える重要な役割を果たすと言われています。しかし、通常の備蓄食は主食に偏ってしまいがちです。
規格外野菜とフードロス問題
一方で、農業にはもう一つの課題があります。それは規格外野菜の取り扱いです。形が整っていなかったり、サイズが合わなかったりするなどの理由で、味や安全性には問題がなくとも、市場ではほとんど取引されず、廃棄されてしまうことが少なくありません。このような状況は農家の収益を圧迫し、経営を不安定にさせる要因ともなっています。
取り組みの価値
『Vege-Can』は、防災と農業を結びつけ、未利用野菜に新たな価値を与えることで、フードロスを削減に寄与することを目指しています。また、缶詰としての長期保存が可能なため、非常時だけでなく、日常でも食べられる料理として楽しんでもらいたいという考えも込められています。このプロジェクトを通じて、支援者には完成したVege-Canや旬の野菜セットなどのリターンも用意されています。
クラウドファンディングの開始
2024年1月31日から3月15日まで、クラウドファンディングを通じて支援を募ります。集まった資金は試作や製造費用などに活用されます。災害がいつどこで発生するかはわかりません。そのため、日常と非常時を切り離さない「美味しい備え」を地域で構築することが求められています。
未来への展望
このプロジェクトを通じて、未利用野菜を価値ある商品に変え、農業を支え、福祉分野の雇用を創出し、さらには災害時に人々を助ける新しい備蓄の形が提案されることを目指しています。地域で育て、地域で備える未来への道筋を、八尾から全国へと広げていくことでしょう。