化学療法中のがん患者におけるジンジャーエキスの効果を確認した研究
がんの化学療法は多くの患者にとって治療の一環ですが、その副作用として悪心(吐き気)が現れることがしばしばあります。この副作用は約40%の患者に影響を及ぼし、時には治療を中断せざるを得ない状況を引き起こします。そこで重要なのが、これらの症状を軽減する方法です。最近の研究では、ジンジャーエキスを含む経口栄養補助飲料(ONS)が化学療法中の悪心に効果を示すことが明らかになりました。
研究の背景と目的
この研究は、ネスレヘルスサイエンスと徳島大学の共同開発によって実施され、欧州臨床栄養代謝学会の専門誌「Clinical Nutrition Open Science」にも紹介されました。化学療法の悪心・嘔吐に対抗するための研究はこれまでも行われてきましたが、従来のONSは飲みやすさの面で課題があり、多くの患者が継続的に摂取するのが難しいという問題がありました。そこで、今回はジンジャーエキスを配合した新たなONSによる改善効果を検証しました。
研究方法
本研究はランダム化比較試験として行われ、徳島大学病院において化学療法の第1サイクルを受けるがん患者75名が対象となりました。この中には頭頸部がん、婦人科がん、肺がん患者が含まれ、参加者は3つのグループに分けられ、各自異なる介入を受けました。介入の内容は以下の通りです:
- - ジンジャーエキス配合ONS(1日2本、合計400kcal、タンパク質20g、ジンジャーエキス17.5mg)
- - 標準的な乳ベースのONS
- - ONSを与えない群
研究は、化学療法の第2サイクルの開始3日前から1週間の期間にわたって行われました。
研究結果
悪心の改善
ジンジャーエキスを含むONSを摂取した患者は、悪心スコアが3.5±1.4と非常に低い数値を示し、標準的なONS群(5.7±1.9)や何も摂取していない群(7.8±1.8)と比べて有意に低かったです。
血中サブスタンスPレベルの変化
また、悪心を引き起こす神経伝達物質である血中サブスタンスPのレベルも、ジンジャーエキス群で有意に減少しました。これは、ジンジャーエキスが脳内での吐き気のメカニズムに影響を与える可能性を示唆しています。
栄養状態とQOLの向上
さらに、ジンジャーエキスを摂取した群では、エネルギーとタンパク質の摂取量が増加し、化学療法に伴う体重減少や筋肉量の低下も抑制されました。質の高い生活(QOL)についても、身体的・感情的な要素を含むスコアが有意に改善されました。
まとめ
この研究結果は、ジンジャーエキス配合の経口栄養補助飲料が化学療法による悪心および栄養状態の保持において、有望な成果を発揮することを示しています。ネスレヘルスサイエンスは「栄養を通じて、より健康的な生活を支援すること」を企業の目的として掲げており、これからも科学的根拠に基づいた製品開発を続けていく方針です。がん治療を受けている方々にとって、この研究は希望の光となることでしょう。