わさびの新たな魅力を引き出すための懇話会
2025年6月5日、万城シーズニングパートナーズ(BSP)は「第五回 わさび懇話会」を開催しました。このイベントでは、業界の有名シェフたちを招き、わさびに関する幅広い議論が展開されました。わさびの香りを最大限に引き出すための秘訣やユニークな食材との組み合わせに焦点を当て、参加者全員が新たな発見を楽しむことができました。
開催の背景
BSPは、消費者がわさびを選択する際に重要視している「価格」と「香り」に関する調査を行っています。2024年の結果によれば、46.3%の消費者は「手頃な価格」を、14.7%は「品質の高さ」を重視していることが分かりました。この結果は、わさびの利用が価格重視であることを示していますが、岐阜大学の山根京子准教授は、良質なわさびは「香り」が重要であり、香りを意識することでその美味しさが際立つと強調しました。
シェフたちのアイデア
懇話会では、各ジャンルのシェフたちによる、香りを引き出すための独自のテクニックが紹介されました。まずは、エスニック料理のCHOMPOOの森枝幹氏が披露した「ニンニク×白コショウ×パクチー」の組み合わせ。これらの調味料を合わせることで、辛さや風味が更に引き立つとのこと。
一方、マッシュルーム専門店MUSHROOM TOKYOの桜井順一氏は、マッシュルームの香りを引き出すためのオイルテンパリング技術や出汁の活用法について説明しました。高温で調理せず、豊かな香りを閉じ込めるための具体的な手法が伝授されました。
和食のシェフ、馳走の近藤明弘氏は、わさびに関して「おろしたて」の重要性を強調しました。わさびの細胞をつぶすことで香りが引き立ち、特に海外のお客様がその瞬間を心待ちにしている様子が伺えました。
また、イタリアンの奥野義幸氏は、わさびのやさしい甘さが際立つ調理法を提案。「ローズマリーのオイルとともに、わさびを使うことで、柔らかく美味しい料理に仕上がる」と述べました。
わさびの新しい組み合わせ
懇話会では、わさびと相性の良い食材についても熱い議論が繰り広げられました。例えば、La Brianzaの奥野氏は、「わさび×豆乳」を提案。わさびの辛味を豆乳でマイルドにし、新しい食感を楽しめるとのことです。
同様に、わさび×柑橘ジュースの組み合わせもエスニックの森枝氏より紹介され、フレッシュな風味との相乗効果が感じられるようです。さらに、「わさび×マッシュルーム」や「わさび×桃」といった独特な組み合わせもシェフたちによって発案され、参加者全員が驚きの表情を浮かべていました。
わさび懇話会の影響
この懇話会から得られた知見を家庭に持ち帰ることで、食卓に新たなわさびの魅力をもたらすことが期待されます。さらには、現在わさび業界が直面する深刻な問題についても、多くの意見が交換されました。
わさび離れの現状
実際、若年層を中心にわさび離れが進んでいることが懸念されています。地球温暖化による栽培環境の変化も影響しており、のびのびと育つ栽培環境が求められています。BSPでは、わさびの生産者不足や若手の人材育成に向けて、業界全体の発展につながる活動を積極的に行う方針です。
まとめ
今回の懇話会を通じて、わさびの豊かな香りと食材との組み合わせの可能性を再確認することができました。様々なシェフたちの知恵を通じて、新たなわさびの役割を再発見する良い機会となりました。BSPが今後もこのようなイベントを通し、わさびの文化を広めていくことが期待されます。