ガーナのカカオ農園拡大が引き起こす森林破壊の現実
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、ガーナ共和国の土地利用の変化を示す「ガーナ・カカオ森林ランドスケープ土地利用マップ」を発表しました。このマップは1980年、2000年、2020年のデータを基に、ガーナのカカオ農園の拡大がどのように森林に影響を与えているかを視覚的に表現しています。
土地利用の変遷を示すマップ
ガーナ森林マップは、リモートセンシング技術を用いて、ガーナの森林地帯における12種類の土地利用の変化を視覚化したものです。これにより、40年間にわたる森林被覆の状況を把握することができます。WWFジャパンによる調査結果によると、同地域の森林面積は約259万ヘクタール減少しており、その半分がカカオ農園への転換によるものであるといいます。
特に、2020年における土地利用のデータでは、緑色が森林、赤やピンク色がカカオ農園として区別されており、その変化を一目で理解することができます。このマップは、WWFジャパンとNature&Development Foundationが共同開発したもので、これまでにない無償公開のデータとなっています。
環境問題としてのカカオ農園の拡大
日本はガーナからのカカオ豆の最大の輸入国です。しかし、その一方でカカオ農園の拡大は深刻な環境問題を引き起こしています。この森林の減少は、土壌の劣化や生物多様性の喪失をもたらし、ひいては地球全体の環境に影響を及ぼすことが懸念されています。
WWFジャパンの専門オフィサーである相馬真紀子氏は、「ガーナの森林が減少している現状を企業に理解してもらい、持続可能な原材料調達を推進することが重要だ」と話します。また、消費者にもこのマップを通じて、チョコレート生産の背後にある厳しい現実を知ってもらいたいと述べています。
企業の役割と責任
ガーナの森林減少は急速に進行しており、日本企業にはその影響を軽減するための責任があります。持続可能な調達の活動を進めることにより、環境保護につながるだけでなく、自社のブランド価値の向上にも貢献できます。消費者としても、環境に配慮した商品選びが必要です。
企業はガーナ森林マップを活用し、カカオ生産が森林に与える影響を理解し、適切なリスク管理を行うことが求められています。これにより、サプライチェーン全体の持続可能性を高め、環境保護につなげることが可能です。
まとめ
WWFジャパンは引き続き、ガーナの森林のモニタリングを実施し、企業の持続可能な調達を支援していく考えです。私たちは、甘いチョコレートの背後にある厳しい現実を見つめ直し、持続可能な選択を促すことが大切です。これからの地球環境を守るために、私たち一人一人ができることを考えていきましょう。