FASHION FRONTIER PROGRAM 2025が発表した受賞者たち
ファッションの未来を考えることを目的とした「FASHION FRONTIER PROGRAM(ファッション・フロンティア・プログラム)」が、2025年度の受賞者を発表しました。このプログラムは、社会に対する責任と創造性を兼ね備えた次世代のファッションデザイナーを育むことを目的に、今年で5年目を迎えました。
2025年12月13日、東京・虎ノ門のTOKYO NODE HALLで開催された最終プレゼンテーションには8名のファイナリストが参加。徹底した審査を経て、グランプリと準グランプリが決定しました。受賞者は以下の通りです。
- - グランプリ: 林 ひかり(Hikari Hayashi)
- - 準グランプリ: エミリー・ミサキ・ホン(Emily Misaki Hon)
- - 準グランプリ: 滝 直(Nao Taki)
様々な国から集まった才能
今年もプログラムには多数の応募がありました。日本やチェコ共和国、オーストラリア、オーストリア、スリランカ、韓国から選ばれた16名のセミ・ファイナリストは、8月と9月の2ヶ月間にわたり、社会的責任や創造性をテーマにしたさまざまな学びの機会に参加しました。そして、中間審査を経て8名のファイナリストが選ばれ、彼らは実際の作品を制作する機会を得ました。
受賞者の作品紹介
グランプリ受賞者:林 ひかりの作品「Reframing」では、衣服の在り方を問い直しています。衣服が他者の基準に寄り添うことへの違和感を表現し、 Tシャツを用いた新しい形の創造に挑戦しました。彼女は、成長よりも流行に左右される子供服の問題を考え、記憶に残る服を生み出しています。
準グランプリのエミリー・ミサキ・ホンの作品「Relics」は、環境問題への意識を融合し、記憶やアイデンティティの持続可能な表現として衣服を再解釈しました。彼女は、祖父の遺品や自然素材を取り入れた独特の技術で、生命の儚さを感じる作品を作り上げています。
もう一人の準グランプリ、滝 直は「Wrap me up !」という作品で、アレンジ可能な着方を提案。ジェンダーや体格の制約を超え、誰もが自由に楽しめる服を制作しました。幅広いサイズ対応と持続可能な素材の使用が特徴です。
審査員について
FASHION FRONTIER PROGRAMでは、ファッションの未来を多角的に考えるために、幅広いジャンルの審査員が集まりました。現代美術家から学者までも参加し、ファッションが持つ意味や価値を深く探求する場となっています。
発起人からのメッセージ
プログラムの発起人、中里唯馬氏は数年前のケニアでの経験から、衣服の大量生産が引き起こす問題を直視し、FFPを立ち上げました。今年の受賞者たちは、経済的な合理性に流されず、衣服との新しい関係を築く挑戦をしており、サステナブルな未来への一歩を示しています。
このプログラムは、ファッション業界にとどまらず、社会全体に良い影響をもたらす原動力となることを目指しています。今後の活躍に期待がかかります。