未来の養殖エサ
2025-04-22 12:36:20

持続可能な未来のための新たな養殖魚のエサ開発プロジェクト

養殖魚の未来を支える昆虫エサの量産



愛媛大学と大日本印刷株式会社(DNP)は、持続可能な食料供給に向けた新プロジェクトに取り組んでいます。この共同研究は、2023年8月より進められ、養殖魚のエサに利用される昆虫、特にミールワームの量産化を目指しています。2025年4月には、愛媛大学内に新しいミールワームの量産を検証する施設(ラボプラント)が設置される予定です。さらに、同年10月には年間3トンのミールワーム粉末が本格的に生産される見込みです。

このラボプラントでは、ミールワームの飼育から加工まで、一貫したプロセスが確立されることとなります。研究が進む中で、昆虫の飼育から生じる副産物として大量のフンが生成されることが分かり、その活用方法も新たに開発されました。具体的には、このフンを利用した活性炭が、空気や水を浄化するためのフィルターとして有効であることが発見されています。これは、環境問題の解決にも寄与する可能性があり、商業化に向けた研究も進められています。

ラボプラントがもたらすもの



新設されるラボプラントの特筆すべき点は、100m²以上の広いスペースが確保され、飼育エリアと加工エリアの2部屋が用意されていることです。この設計により、効率的にミールワームを育成し、加工することが可能となります。2024年9月には、ミールワームの飼育を自動化する原理試作機が開発され、稼働が開始されます。この段階で、ミールワーム粉末を安定的に生産できる見込みが立ち、さらなる進展が期待されます。

さらに注目すべきは、ミールワームのフンから得られる活性炭です。この活性炭は、触れる物質との接触面が広がる特性を持ち、高い吸着効率を実現しています。特に、水処理において、一般的に使用されるヤシガラ活性炭と比較して、その吸着能力が優れていることが研究結果から示されています。メチレンブルーを用いた実験においても、この新しい活性炭は高い効果を発揮しました。

環境への貢献と今後の展開



愛媛大学とDNPは、2025年10月までにラボプラントを本格稼働させ、年間3トンの養殖魚用ミールワーム粉末を生産し、さらには2027年度には年間100トン、2028年度以降は商業用プラントで年間1,200トンの生産を目指しています。また、フンから開発した活性炭の用途も拡大予定で、空気の浄化や水質改善に貢献できるような製品開発にも取り組んでいきます。

このように、DNPと愛媛大学による昆虫を活用した持続可能な食料供給の取り組みは、これからの環境保護と食料問題に対する大きな一歩となることでしょう。新しい技術の進展に注目しながら、私たちも未来の食を考えていきたいものです。


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