ロレアルが描く美と長寿の新たな未来
世界最大の化粧品企業、ロレアルグループが2023年6月10日にパリで開催した第1回「ロンジェビティイベント」は、美が長寿においてどう重要であるかを示しました。肌の健康を維持することが、健康的な生活を送るための大切な要素であることをロレアルは強調しています。
ロレアルの副CEO兼リサーチ&イノベーションテクノロジー責任者のバーバラ・ラヴェルノは、"ロンジェビティは科学と社会における大きなパラダイムシフトである"と述べ、美の追求と長寿が深く結びついていることを指摘しました。彼女は、肌の健康を通じて明るく、活力あふれる人生を送るための新しいビジョンを提示しました。
ロンジェビティ インテグレイティブ サイエンス™の概要
ロレアルが提唱する「ロンジェビティ インテグレイティブ サイエンス™」は、細胞活動やセル間コミュニケーション、炎症反応が肌の加齢に与える影響を解明することを目的としています。このアプローチにより、肌細胞の健康寿命を延ばし、生物学的老化の根本原因にアプローチします。
ロレアルはこれまでに15年以上にわたって蓄積した長寿に関する研究と40以上の論文に基づいて、肌の加齢を細胞、分子、組織レベルで理解するための「健康寿命と美のサイクル」を確立しました。さらに、独自の「ロンジェビティAIクラウド™」を利用することで、老化に関する9つの特徴のメカニズムを解明しようとしています。
先進的な診断技術
ロレアルが注力しているのは、セル バイオプリント技術です。この技術はナノエンテック社との共同開発により、肌の老化バイオマーカーを5分以内で測定することを可能にします。この情報をもとに、個人が自分の肌の健康を管理し、加齢に伴う変化に対処できるようになります。
また、エピジェネティック検査を行う専門家との協力により、肌とエピジェネティクスの関連性も探求し、長期的な肌の健康を促進するための新しいイノベーションを開発しています。
新しい有効成分の導入
ロレアルは、スイスのバイオテクノロジー企業・タイムライン社の技術を取り入れ、細胞のエネルギー源であるミトコンドリアを再生させる「マイトピュア®」という分子を開発しました。この技術は、10年以上の研究成果に基づいており、2024年にロレアルはタイムライン社に少数株出資を行う予定です。細胞を再生するための新たなアプローチが期待されています。
バイオアクティブ成分に関しては、ヴェミンシン社との提携により、環境に配慮した新しい化粧品成分の開発も行っています。
多彩な製品を通じた美容イノベーション
ロレアルは、既存の製品ラインにもロンジェビティに特化した新しい製品を導入しています。例えば、ランコムの「アプソリュ ロンジェビティ ソフトクリーム」では、バイオ刺激剤PDRN技術を用いて細胞を活性化し、肌の若々しさを保つ効果が期待されています。また、ヴィシーのクリームは肌の密度を高めるための特許出願中の成分を搭載し、成熟肌の悩みに応えることを目指しています。
ロレアルの「ロンジェビティ インテグレイティブ エコシステム」は、最新の研究成果と共同研究を通じて、美容業界全体に恩恵をもたらすことを目指しています。さまざまな専門家とも連携し、健康寿命を延ばすための革新的なソリューションを開発することで、今後もビューティー技術の最前線をリードしていくことでしょう。
結論
ロレアルグループは、肌の健康を維持することが美と長寿の関係を強化する重要な要素であることを示しました。これからの美容業界では、加齢に対する新しい理解とその解決策が求められていくことでしょう。ロレアルの取り組みは、その先駆的なものとして、多くの人々にポジティブな影響を与えるはずです。