キリンと北里大学による新たな難聴研究
キリンホールディングス株式会社と北里大学医学部が、加齢性難聴に対する新しいアプローチとして共同研究を始めます。この研究は、2025年1月からスタートすると発表されており、ヒトiPS細胞から作られた内耳オルガノイドを用いて、機能性素材の有効性を検証することを目的としています。
研究の背景
高齢化が進む現代社会では、加齢による内耳の感覚細胞や神経細胞のダメージが蓄積し、難聴を患う人々が増加しています。補聴器の市場は急成長していますが、現状では根本的な解決策は見つかっていないのが実情です。このため、医薬品開発やそれ以外の方法による予防・改善のニーズが高まり続けています。
特に最近では、動物実験に代わる技術として、ヒトの生体に近いオルガノイドを活用した研究が世界中で注目されるようになっています。これにより、難聴などの医療課題を解決するための新しい道が開かれることが期待されています。
研究の目的
この共同研究では、免疫研究をはじめとしたキリンの研究力と、北里大学の高度なiPS細胞の技術を掛け合わせることで、ヘルスサイエンスの分野での新たな可能性を広げることを目指しています。特に、難聴市場での課題解決を進め、罹患者が増え続ける状況を改善する方策を探ります。
内耳オルガノイドの重要性
内耳オルガノイドは、動物実験の代替技術としても高い評価を受けていますが、内耳の細胞群を効率的に培養する技術は未だ発展途上です。北里大学の研究チームは、特に蝸牛の感覚上皮から形成されたオルガノイドを用いて、革新的な研究を進めます。これは、内耳の神経節細胞に特化した薬剤効果の評価法を確立したり、優れた培養法を用いることで、内耳における先進的な研究を展開しています。
キリンのビジョンと北里大学の役割
キリングループは、将来的に食から医療にわたる領域での新たな価値創造を目指しており、ヘルスサイエンス事業を推進中です。北里大学も、この研究を通じてさまざまな医学的課題に挑戦し、実学の精神を持って研究成果を社会に還元することを目指しています。
このように、キリンと北里大学の共同研究は、加齢性難聴という深刻な課題に対して新しい解決策を提供する可能性を秘めており、今後の展開が非常に楽しみです。