吉川晃司、日本武道館公演の熱狂を振り返る
2023年2月、吉川晃司が記念すべき40周年アニバーサリーライブツアーの一環として、日本武道館での公演を成功裏に終えました。この公演は、昨年10月から続く全24カ所26公演の巡業の最後を飾るもので、開演前から観客の興奮は最高潮に達していました。
公演は、オープニングSEの音が場内に響き渡る中、吉川のイニシャルをデザインした巨大なLEDスクリーンに過去のシングルやアルバムジャケットが映し出されるところから始まりました。その瞬間、観客からは歓声が上がり、彼の音楽、そして歴史への思いが一体となります。バンドメンバーの藤井謙二(ギター)、生形真一(ギター)、ウエノコウジ(ベース)、湊雅史(ドラム)、ホッピー神山(キーボード)の5人がステージに登場し、彼らが持つロックの重厚な響きが場内を包み込みました。
初めての曲「TARZAN」で幕を開けたこの公演。吉川はその野性味溢れる歌声で観客の心を捉えた次の瞬間、「SPEED」と続き、エッジの効いたギターリフが会場に轟きました。この2曲の流れは、彼の現在に至るまでの生きざまを体現するものであり、まさに圧倒的な存在感を示しました。
続いての「You Gotta Chance 〜ダンスで夏を抱きしめて〜」や、COMPLEXの「MAJESTIC BABY」、「ROUTE 31」では彼の多様な音楽性と、その年を経てもなお色あせない魅力が感じられました。彼の歌声は艶やかさを増し、聴衆を魅了しながら、過去の名曲を披露しました。
また、2000年代にリリースされた新しい楽曲「El Dorado」「Honey Dripper」では、吉川がプライベートスタジオで磨いてきた音楽の深さを体感できました。特に「ソウル・ブレイド」では、彼が観客に対して渾身の叫びを上げ、会場全体が一つになった瞬間が印象的でした。
続いて披露されたバラード「ロミオの嘆き」では、彼の歌が四十年の重みを感じさせるスモーキーな響きを持ち、聴衆を感動させました。荘厳なインストセッションを経て、「ギムレットには早すぎる」では、スイングジャズの要素が光るゴージャスなパフォーマンスが展開され、聴衆を一段と惹き込むこととなります。
そして、1994年の『Cloudy Heart』を締めくくる「Love Way」では、会場全体が一体となった驚きの瞬間が生まれ、まさに「愛のメッセージ」が伝わってきました。
後半戦では「サラマンドラ」や「タイトロープ・ダンサー」が披露され、さらに盛り上がりを見せました。その後には、80年代の名曲「プリティ・デイト」や「LA VIE EN ROSE」、COMPLEXの「恋をとめないで」などが続き、会場の熱気は最高潮に達しました。特に「Juicy Jungle」においては、吉川自身の音楽性の集大成を感じさせる迫力あるパフォーマンスが展開され、観客とのコールアンドレスポンスが生まれました。
最終盤では、アンコールでデビューアルバムの「フライデー ナイト レビュー」を披露し、懐かしい記憶がよみがえりました。最後は「せつなさを殺せない」でオーディエンス全員がシンガロングで応え、彼は笑顔を浮かべながら再会を約束し、ステージを後にしました。
吉川晃司のこのライブは彼の音楽的な旅を振り返りつつ、その揺るがない信念や矜持を示したものでした。未来に向けて、40年の歳月を経てなお変わらないその姿に、観客は熱く肩を寄せ合っていました。この素晴らしいライブの記録は、彼の不屈の精神が未来へと繋がっていく様子を私たちに見せてくれています。