キリンホールディングスが知財功労賞を受賞の背景とは
キリンホールディングス株式会社は、令和7年度の知財功労賞において特許庁長官表彰を受けました。これは、経済産業省や特許庁が毎年行うもので、知的財産権制度の普及や発展に貢献した企業などを表彰するものです。
受賞のポイントは大きく分けて3つあります。まず第一に、事業部門と研究部門が経営レベルで連携し、知財を企業の持続的な成長の原動力として活用していることが挙げられます。定期的に設けられた対話の場では、各事業分野の社長や研究所のリーダーが集まり、知的財産の重要性を再認識します。
第二に、キリンが狙った商品独自性の確保です。特に注目されるのが、糖質ゼロビールの開発プロジェクトです。この新カテゴリーでは、事業部門、研究開発(R&D)、そして知財部門が一体となり、販売開始からわずか4年で累計6億本を突破するという驚異的な成果を上げました。この成功は、キリンの戦略的な知財活用によるものであり、パートナーシップの強化が大きな要因です。
三つ目は、社外連携の推進です。ヘルスサイエンス分野において、「プラズマ乳酸菌」関連商品での事例が見られます。ここでは、自社で独占して提供できない領域においてライセンスを積極的に行い、顧客との接点を広げることで、商品価値を高めています。
この固定観念を打破する挑戦に対して、キリンの常務執行役員R&D本部長の藤原大介氏は、知財功労賞を受賞したことに対して「大変光栄である」とコメントしました。キリングループは、CSV経営(Creating Shared Value)を推進しており、社会の課題に技術を活かして解決策を見出すことを目指しています。
さらに、キリングループは発酵・バイオテクノロジー分野での研究開発を基に、食・ヘルスサイエンス・医療領域に事業を展開しています。この中から得られた知的財産は、経営資産として重視され、特許権の確保や活用を行うことで企業の成長を持続的に支える要素となっています。
キリンは「自然と人を見つめるものづくり」を掲げ、食と健康に関する新しい価値を提供していくと宣言しています。このような取り組みが行われることによって、より良い社会の実現に貢献することが期待されています。
今後もキリンが、最先端の技術を生み出し社会的な価値を創造するという観点で、さらなる成長を遂げていくことが楽しみです。知財活動を通じて、キリンがどのように未来を切り拓いていくのか、注目が集まります。