カーボン・クレジットの未来
2025-03-24 11:36:25

キリンと日立が共同で森林由来カーボン・クレジットの創出に挑む!

キリンと日立の共同研究で新たな森林由来カーボン・クレジットを創出



2025年3月、キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、森林由来のカーボン・クレジット創出に向けた共同研究契約を締結しました。この取り組みでは、キリンが持つ独自の「植物大量増殖技術」と、日立の「自然計測技術およびMRVに関連するデジタル技術」を最大限に活用し、高品質な森林由来カーボン・クレジットの創出を目指します。

共同研究の背景



最近のUNEP(国連環境計画)の発表によれば、2022年の世界のGHG(温室効果ガス)総排出量は574億トンに達し、過去最高を記録しています。この増加の影響で、森林の炭素吸収能力が低下しており、日本国内でもその傾向が顕著です。木々の成長が鈍化しているのが主な要因であり、脱炭素社会を実現するためには、森林の炭素固定能力を最大限に引き出すことが求められています。

また、現在、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づいて、企業が自然環境への影響を報告する動きが広がり、生物多様性保全と脱炭素化の両立が急務とされています。こうした事情から、キリンと日立は協力して森林由来カーボン・クレジットの創出に着目しました。

共同研究の具体的な取り組み



この研究では、キリンが開発した「植物大量増殖技術」を用いて、従来の方法よりも迅速かつ効率的に苗木の生産を行います。一方、日立は「自然計測技術」とMRVに関連する技術を駆使し、炭素固定量を正確に測定し、データを透明に管理します。

具体的には、炭素の定量評価法の開発や、改変不可能なデータベースの構築を行い、申請レポートの自動作成も視野に入れています。これにより、透明性の高い森林管理が実現され、クレジット申請手続きの効率化が見込まれています。

課題とその解決策



しかし、森林由来のカーボン・クレジット市場には一部で「ジャンク・クレジット」と呼ばれる信頼性の低いクレジットが存在し、この問題を解決することが急務です。信頼できるカーボン・クレジットへの需要が高まる中、キリンと日立は、共同研究において、厳格なMRV(Measurement, Reporting and Verification)を行います。これにより、より高品質なクレジットを提供し、森林事業者や社会全体に貢献することを目指しています。

さらに、苗木生産に関しては、高齢化が進む生産業者の状況も問題視されています。そのため、効率的な苗木生産技術の開発が急がれています。キリンはこの課題に対応するため、迅速な苗木の生産方法を確立し、持続可能な森林管理に寄与していく方針です。

未来への展望



キリンと日立は、お互いの強みを活かしながら、共同研究を通じて高品質な森林由来カーボン・クレジットの創出を実現し、生物多様性の保全やGHG削減を達成することで、社会課題の同時解決を目指しています。さらに、実証試験の実施に向けた準備を進め、地域や他企業との連携を強化する計画も進行中です。

キリンは「キリングループ環境ビジョン2050」を掲げ、脱炭素社会の構築に向けた取り組みを続けています。また、日立も「日立環境イノベーション2050」を基にカーボンニュートラルを目指しており、両社の協力によって地球環境の保全と持続可能な社会実現が期待されています。

この共同研究は、単なるカーボン・クレジットの生成にとどまらず、将来的には地球環境の保全と人々の生活の質向上にもつながることでしょう。これからの進展にぜひ注目したいところです。


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