米ぬかの新たな可能性を追求する築野食品工業の取り組み
近年、環境や健康への意識が高まる中で、食品業界でも革新的なアイデアが続々と誕生しています。その中でも、注目を集めているのが築野食品工業株式会社による「国産こめ油」のパッケージリニューアルです。2025年から、同社はシュリンクラベルを従来の石油由来インキから、米ぬかを原料とした「ライスインキ」に変更することを発表しました。
この取り組みは、単なるデザインの変更にとどまらず、米ぬかの有効利用を象徴しているのです。築野食品工業の社長、築野富美氏はこのリニューアルを通じて、米ぬかが持つ魅力をより多くの人々に伝え、農地を新たに開拓することなく、地産地消の価値を広めることを目指しています。
ライスインキの特徴と利点
ライスインキはバイオマスインキの一種であり、環境負荷を軽減するための画期的なソリューションです。米ぬかという本来食品としての価値を持つ原料を用いることで、食品オイルの製造過程で発生する副産物を有効活用することができます。これにより、廃棄物を減少させると共に、持続可能な社会の実現に寄与したいという意向が込められています。
具体的には、ライスインキを採用することで次のような利点があります:
- - 食糧の安定供給に貢献: 米ぬかは食物の副産物ながらも、その栄養価が非常に高いことから、当社はこれを利用することで食糧の有効活用を促進しています。
- - 地嫌地消の促進: 地元生産者からの原料を用いることで、地域経済への貢献も果たしています。
創業の精神に基づく取り組み
築野食品工業の創業者、築野政次氏は戦後の厳しい食糧難の時代を生き抜いた経験から、「食糧の安定供給」を目指し、精麦事業を立ち上げました。彼の想いは今も社内に受け継がれ、米ぬかを余すところなく利用する事業の原動力となっています。
株式会社築野食品工業は、こめ油だけでなく、米ぬかを利用した幅広い製品ラインを展開しており、食品だけでなく化粧品や医療、化学産業にも米ぬかの成分を活用しています。このように、米ぬかには無限の可能性があることを示す取り組みが進行中です。
これからの展望
築野食品工業は、今後も国内の米ぬかの活用を進めることで、持続可能な社会の実現に大きく貢献していく意向です。また、商品パッケージには新たにライスインキマークを表示し、消費者にこの取り組みが持つ重要性を伝えるとともに、食糧の確保や環境への配慮についての理解も促進していく予定です。
企業情報
築野食品工業は、昭和22年に設立され、米ぬかの高度有効利用を推進する企業として長年の歴史を持っています。彼らの取り組みは、健康と美を象徴する米ぬかの新しい価値を創造し、次世代へとつなぐ重要なものであると言えるでしょう。これからも築野食品工業の動きから目が離せません。