コーセー、化粧品のアップサイクル技術を開始
株式会社コーセーが東京大学との共同研究により、使わなくなった化粧品を環境触媒に生まれ変わらせる新たな技術の開発に取り組んでいます。これは日やけ止めなどに含まれる酸化亜鉛等の金属酸化物を独自の化学プロセスを施し、環境浄化や資源循環、エネルギー分野への活用が期待される触媒に再利用することを目指しています。すでにこの技術についての特許も出願済みで、今後は他の金属酸化物の応用にも展開していく予定です。また、今回の研究は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から支援を受けており、2026年1月には東京で行われる国際ナノテクノロジー総合展でポスター展示も予定されています。
背景
世の中で環境問題への意識が高まる中、企業におけるサステナビリティへの取り組みがますます注目されています。化粧品業界でも、消費者は商品の品質や使い心地に加えて、環境への配慮も重視するようになっています。最近の調査では、53%の人が化粧品メーカーに求めるサステナビリティの取り組みとして「廃棄物削減・資源循環」を重要と考えていることが明らかになりました。
日本では2024年に生産される化粧品が約38.7万トンにも上るとされ、その製造から使用、さらに廃棄に至るまでの環境負荷を減らすための取り組みが進んでいます。これまで空容器の回収や再生に進展が見られましたが、化粧品の成分自体については再利用の余地がまだ残されています。そのため、化粧品の成分に着目した新しいアップサイクルの研究が必要とされてきたのです。
アップサイクル研究の詳細
この研究の中で特に注目されているのは、日やけ止めなどに使用されている酸化亜鉛などの金属酸化物です。酸化亜鉛は紫外線防御の成分として知られていますが、実は環境浄化やエネルギー資源の生成にも使用されています。しかし、この成分は輸入に依存しており、リサイクル率が低いのが現状です。そのため、この研究では、東京大学の高鍋・小畑・岸本研究室が開発した電磁波を利用した独自技術を用いて、廃棄された化粧品に含まれる金属酸化物を新たな機能を持つ触媒に再生するプロセスを検討しています。
具体的には、酸化亜鉛を触媒に変える基礎技術を開発しました。白金化合物を含む日やけ止めをLED光で照射することで、酸化亜鉛を触媒化することに成功し、これが有害ガスの一酸化炭素を効果的に分解できることが確認されました。
今後の展望
今後、この研究をさらに進展させ、実際に使用されなくなった日やけ止めから触媒を生成する実証実験を行うことを目指しています。コーセーは、化粧品の研究を通じて、循環型社会の実現に貢献する技術開発を推進していく考えです。エコに優しい未来が、化粧品業界からもたらされることに期待が寄せられます。