マダイ養殖に革命をもたらすフィード・ワンの挑戦
フィード・ワン株式会社は、近年、マダイ養殖の生産効率を改善するための実証試験を行っています。このプロジェクトでは、「補償成長」と呼ばれる現象に着目し、一定期間にわたり給餌制限を行い、その後再び給餌を再開することで、養殖魚の成長を促進できることが期待されています。具体的には2023年8月からの試験を通じて、高い水温に伴う斃死率の低下や生産コストの削減が目指されています。
飼料削減の重要性
養殖業界では、飼料費の高騰が経営を直撃しています。特に、魚粉の値上がりは水産用配合飼料の主原料の価格上昇をもたらし、この影響が直接的に養殖業者に降りかかっています。また、気候変動も影響し、夏の高水温により、魚の斃死が発生する事態も増加。
その中で、フィード・ワンは「高知県飼料削減技術開発等事業」に参加し、養殖業の持続可能性を確保するために業界内での協力を推進しています。この取り組みは、飼料削減技術の開発と普及を目的としており、2025年12月までの長期プロジェクトとなっています。
「補償成長」とは
「補償成長」とは、ある期間給餌を制限した後に再びすぐに給餌を再開することにより、魚が通常の成長を超えて発展する機能のことです。具体的には、フィード・ワンの試験では、給餌を18%削減した結果、成長率や魚体重の増加が確認されました。例えば、魚体重を1kg増加させるために必要な飼料の量が32%削減されるという結果が得られ、コスト的にも非常に優位な成果を上げています。
実証実験の進展
2023年8月から始まった初回の試験結果では、給餌制限を経た魚が、対照区の魚を追い越す成長を示しました。また、給餌制限を行った群では斃死の数が少なく、全体的な飼料コスト削減に寄与する可能性があることが確認されました。2024年には、さらに給餌制限の具体的なタイミングや方法に焦点を当てた実験も行われる予定です。
成果報告と今後の展望
2025年には、「高知県飼料削減技術開発等事業」の成果を報告する予定です。この報告会には、養殖業者を含む約60名が参加することが見込まれており参加者からは多くの質問も寄せられることでしょう。フィード・ワンは、この取り組みを通じて、飼養技術の普及に力を入れる方針であり、今後も養殖業界への貢献を続ける方針です。
まとめ
水の温暖化や飼料費の高騰といった課題に直面している養殖業界において、フィード・ワンの「補償成長」を活用したアプローチは、今後の持続可能な養殖環境の創出に大いに寄与することでしょう。このような技術革新が、養殖経営に新たな光をもたらすことを期待しています。