フェンディの新たな拠点:ミラノ本社リニューアル
イタリアの人気ラグジュアリーブランド、フェンディ(FENDI)がこのたび、ミラノファッション地区の中心であるソラーリ通り(Via Solari)に本社を新たにリニューアルオープンしました。これにより、ファッション界における存在感をさらに強化することを目指しています。新しいミラノ本社には、常設オフィスやショールーム、さらにはファッションショー用の広々としたスペースが完備されており、クリエイティブな活動がより一層ダイナミックに行える環境が整いました。
特に注目すべきは、2025年2月26日に開催予定のフェンディの「2025-26年秋冬コレクションファッションショー」を迎えるにあたり、新たに設けられるキャットウォークエリアの広さです。従来の2倍となる1,650平方メートルのスペースが用意され、今後のショーの際には、よりインパクトのある演出が期待できるでしょう。この新しいキャットウォークは、メゾンの美学を体現するために設計されており、訪れる全ての人々に強烈な印象を与えます。
新本社のデザインと構成
フェンディの新たな本社では、洗練された赤レンガのファサードが目を引きます。カジュアルなデザインとインダストリアルな魅力が融合した建物は、ソラーリ通りとステンダル通りの角に位置しており、通りを行き交う人々を引き寄せます。内部は、バックステージやアトリエ、ショースペース、そしてオフィスの三つのエリアに分かれており、各ゾーンは独立して運営可能です。そのため、エネルギー効率を最大化するよう配慮されています。
さらに、軽やかなコンクリートや透明感のある素材の巧みな組み合わせにより、空間にはインダストリアルな特徴が活かされています。特に、約1,650平方メートルもの壮大なショースペースの両側には、クリアガラスとホワイトメタルで構成されたオフィスが配置され、開放感あふれる雰囲気を演出しています。
エントランスには温かみのあるウェルカムエリアが設けられており、ここには「フェンディ カーサ」のソファが備えられています。穏やかな色調の空間に加え、インダストリアルな雰囲気の中でポリカーボネート製のランタンが調光可能なムード照明として装飾されており、訪れるゲストを優雅に迎え入れます。
業界とのコラボレーション
フェンディは、アルナルド・ポモドーロ財団(Fondazione Arnaldo Pomodoro)との継続的なパートナーシップを通じて、エントランスホールにポモドーロの代表作「迷宮への入り口 (Ingresso nel labirinto)」を展示しています。これはフェンディとアルナルド・ポモドーロ財団が過去に開催した展覧会の一環であり、現代アートとの融合を図っています。他にも、歴史的な衣装である「Costume di Didone」と「Costume di Creonte」も展示されており、アートとファッションの見事なコラボレーションが実現されています。
歴史を感じる場所
新本社が建てられた場所は、もともとRiva&Calzoniという工業施設で、遡ること1800年代後半から発電用タービンの製造が行われていました。この会社がナイアガラの滝に水力発電用タービンを供給したことから、イタリアの工業技術の歴史が始まったと言われています。しかし、1999年にアーティストのアルナルド・ポモドーロがこの建物を取得し、スタジオおよび展示スペースとすることでアートの舞台に変貌を遂げました。
2013年にはフェンディがこの地に本社を移し、さらなる存在感を示すようになりました。この場所は現在も、ポモドーロの環境芸術作品「迷宮への入り口」を収蔵する唯一のスペースとして知られています。フェンディの新たな本社は、ラグジュアリーブランドの未来を感じさせる魅力的な場所として、新しい歴史を刻むことになるでしょう。