マックスマーラの2025年秋冬コレクション
2月27日、日本時間にミラノで開催されたマックスマーラの2025年秋冬コレクションは、19世紀の英国文学からインスパイアを受けた魅力に満ちています。そのテーマは「Untamed Heroine(情熱を秘めたヒロイン)」。シャーロット・ブロンテの名作『ジェーン・エア』に登場するヒロインのように、理性と感情のバランスを保ちながらも、次第に自由な本能を求める姿が表現されています。
新たなヒロインの誕生
今回のコレクションは、ブロンテ姉妹が描く女性像を反映し、彼女たちの作品に流れる深く感情的な愛の物語を呼び起こすものとなっています。主人公たちは、道徳的課題に直面しながらも、自身の選択を優先する強さを持っています。彼女たちの強さは、スマートなスーツを身にまとい、権力の世界を自由に駆け抜けながらも、心の中で新しい感情を求める姿に映し出されています。
新しいマックスマーラは、クラシックなスタイルにネオゴシックな要素を加え、都会の現実と自然の美しさを融合させた内容になっています。特に『ジェーン・エア』の慎ましさと、『嵐が丘』の情熱とが交差し、洗練された装いに昇華されています。
デザインの特徴
コレクションに登場するアイテムの一例には、レディングコートがあり、ウエストで引き締めたデザインが施されています。裾を広げたシルエットには、取り外し可能なキルティングライニングが取り入れられ、レザーやシアリングの袖がタフな印象を与えています。また、コートのフロントは開き、長いスカートスタイルへとアレンジできる柔軟性を持たせています。
さらに、アンティークのブリーチズにインスパイアされたパンツは、優雅さを保ちながらも、膝に向かってプリーツが施されています。ショート丈のジャケットは、構築的な袖のデザインで脚を強調し、ベストはジャケットの下に着用することでコンパクトなシルエットを演出。多様なスタイルには、ミリタリー要素を取り入れたグレートコートや、英国式のフロックコート、ポケット付きのデラックスなパーカ、さらには優雅なケープなどもラインアップされています。これらは、全体として強さと品位を兼ね備えており、多様なシーンに対応してくれます。
カラーと素材の選定
特に注目すべきは、マックスマーラ独自のカラーリング。特別な名前を持つ「Cascia」という色は、ブロンテ姉妹の故郷であるヨークシャーの自然を思わせる美しいものです。選ばれた素材は、ダブルフェイスのウール、光沢のあるドレープ、軽やかなウーステッドウール、贅沢なカシミアなど、多彩で、絶妙な触感を楽しむことができます。これにより、日常生活の中にさりげなく優雅さをもたらしてくれるでしょう。
夜のシーンでは、ドラマティックな黒のベルベットガウンやボーン入りのコルセットベストなど、舞台で耀くような華やかな装飾が魅力的です。ヒロインの新たな側面を表現したこれらのアイテムは、その存在感を放っています。
時代を超えたメッセージ
ブロンテ姉妹の作品は、今なお多くの人に愛され続け、映像化もされています。彼女たちが描く人間の心の深さは、時代を超えて共感を呼び起こしています。そして、マックスマーラのヒロインは、冷静さと理性を兼ね備えた女性が、自身の内なる声に導かれて新たな一歩を踏み出す姿を象徴しています。このコレクションは、ただの服ではなく、時代を超えたメッセージを持つスタイルを提供しているのです。