顧客の満足度をつかむ!新たな接客体験価値の追求
1. はじめに
ワールド・モード・ホールディングス(WMH)が発表した最新の調査レポート『SEEP全国調査レポート 2025上期』によれば、顧客は購入を続けながらも、その満足度は下降傾向にあります。この状況を受けて、ファッション業界の“接客体験”がどのように顧客の心をつかむか、またその重要性について再考する必要があります。
2. 調査の背景
本調査は、2025年2月に東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の主要都市で行われ、国内外の有力ブランドの店舗を対象に顧客の来店体験を評価しました。結果として、「売上は上がっているが、顧客の満足度は下降している」という逆説的な状況が浮き彫りになっています。この背景には、世界的なファッション市場の変化があるといえるでしょう。
3. 現在の消費者の価値観
最近の研究では、消費者の価値観が“物”から“体験”へとシフトしていることが指摘されています。Eコマースの進化に伴い、実店舗での接客がブランド選びにおける決定的な要素となっています。このような時代において、顧客の期待に応えられない店舗はブランド価値を損なうリスクを抱えています。
4. 接客の質が問われる理由
4.1 ファーストアプローチの重要性
調査によれば、店に入った際の最初の数秒間の接客が大きなCS(顧客満足)スコアの差を生むことがわかりました。声をかけるタイミングや笑顔、姿勢、目線などが、顧客の印象に大きな影響を与えるからです。これらは接客の初めにおける“質”が決定的な要因であることを示唆しています。
4.2 接客のPDCAモデル
成功している店舗は、単なるスキル習得にとどまらず、教育やナレッジの共有、そしてブランド哲学が浸透する仕組みを持っています。これは、属人的ではない接客品質の維持がもたらす再現性に関連しています。
5. ブランド間の格差
同一カテゴリ内でも、ブランドごとのスコアの差が明確化しており、顧客は接客体験によってブランドを選ぶ傾向が出ています。特に、同価格帯のブランドであっても、接客の質が顧客満足に大きく影響することがわかりました。
6. 地域別のトレンド
調査結果によると、都市部の路面店では接客スコアが低下している一方で、郊外型の施設では高評価が得られています。これは、特に観光需要が回復している中で、顧客に丁寧な提案や配慮ある対応が求められていることを示しています。
7. 調査の意義
今回の調査は、店舗運営や教育、人材戦略、顧客体験(CX)施策に関わるすべての関係者にとって、接客における“見えない差”を明らかにする貴重なインサイトを提供します。本レポートを活用することで、顧客の再訪を促す接客の在り方や、その改善方法についてのヒントを得ることができるでしょう。
8. まとめ
売上が上がっているにもかかわらず、顧客満足度が下降している現状は業界の中での大きな課題です。接客体験に目を向け、その質を高めることが、ブランドの未来を左右する鍵と言えるでしょう。消費者の期待に応えられるような接客力を再定義することが、今後のファッション業界における重要なテーマとなるでしょう。