白糠町の漁業と伝統を活かした食文化の新たな息吹
北海道白糠町にて、太平洋に面したこの町の魅力は、数世代にわたって漁業と一緒に培われてきた食文化にあります。地元の魚を余すことなく活用する取り組みとして注目を集めているのが、田森栄輝さんが代表を務める「龍宝丸水産」です。この事業は、ふるさと納税の返礼品としても人気を博し、地方の特産品を全国に広める重要な役割を果たしています。
魚に情熱を注ぐ職人の道のり
田森さんは幼少期からの漁業の背景を引き継ぎ、若い頃は札幌の専門学校で様々な職を経験しましたが、最終的には白糠町に戻り漁師の道を選びました。「自分の可能性を試したい」との思いから、彼は30代で釣り船の船長として独立。自身の船を使って全国各地の漁業に挑戦しましたが、関係者との調整など苦労も多かったものの、彼の挑戦心は揺らぎませんでした。
再び漁師の道に戻った田森さんは、持ち前の情熱を武器に水産加工へと進化していきます。元々持っていた興味と技術を生かして、地元で獲れた魚を用いた珍味や加工品の製造を始め、特に「鮭の飯寿司」はその伝統的な製法で根強い人気を誇ります。
受け継がれる味と伝統
田森家の漁業のルーツは、十勝地区にさかのぼります。祖父が白糠の漁場を買い求め、以降60年以上にわたり地域と共に歩んできました。その歴史の中、特に「鮭の飯寿司」は地元の特産品としての地位を確立しています。この料理は魚と野菜を米麹に漬け込んで発酵させる、手間暇かけた冬の保存食で、その製法は田森の祖母から受け継がれたものです。
「飯寿司は家庭ごとに特徴があります。このやり方を守りながら、今も大切に作っています。」と田森さんが言うように、効率を追求する現代の流れとは一線を画した、伝統を敬いながらの製造スタイルが支持されています。
コロナ禍での逆境を乗り越えた新たな展開
水産加工業としての活動を続ける田森さんにとって、コロナウイルスの影響は大きな壁となりました。仕事が減少する中で、彼は「鮭とばクイーン」に力を入れ、早急にふるさと納税の関係者にその在庫を紹介した結果、わずか2ヶ月で完売達成。その後の生産追いつき策に苦労した経験から、「伸びすぎは自分たちの力を超えている」と感じ、安定供給の重要性にも気づかされました。
地域への恩返しと思い
田森さんは、漁業を通じて得られた豊かさを白糠町に還元したいという強い思いを持っています。「この町が大好きだからこそ、地方を支えるためにもっと貢献したい」との意気込みが、新しい取り組みの原動力となっています。彼は、地域の人々とより深く関わり、新たな世代との交流を図るために、ふるさと納税を利用した商品開発を通じて、地元の活性化を図っています。
結び
田森さんの取り組みは、白糠町とその魅力を全国に広めるためのものです。魚との向き合い方、そして伝統を守るただ単なる事業ではなく、地域の人々の絆を深める重要な役割を担っています。彼の情熱が、これからも地域に根付き、新しい食文化を形成し続けることでしょう。