ロレアルがIFSCC 2025で披露した革新的な研究成果
2025年9月、フランスのカンヌにて開催される第35回国際化粧品技術者会連盟学術大会(IFSCC 2025)で、世界的化粧品企業であるロレアルの日本部門、ロレアル リサーチ&イノベーション ジャパン(R&Iジャパン)が、画期的な4つの研究成果を発表しました。これらの技術は、持続可能性や機能性を重視しており、現在の美容業界が抱えるさまざまな課題を解決する可能性を秘めています。
1. Glyco-san技術
ロレアルの河西毅彦氏による研究は、洗顔料の新しいアプローチ「Glyco-san」に焦点を当てています。近年、洗顔料を含む様々な化粧品において、持続可能性と機能性のニーズが高まっていますが、これに対応したのがこの技術です。バイオ由来のキトサンを利用して、洗浄剤の性能を高めつつ、皮膚に有益な油分を維持できる方法が開発されました。この技術は、化学薬品を使用せず、天然素材に基づいており、環境にも配慮したものとなっています。
2. 毛髪と頭皮ケアの革新
次に紹介するのは、ティム・ツァオ氏の研究による「スカルプケア」の新たな成分、ヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール(HPTP)です。この成分は、頭皮のグリコサミノグリカン(GAG)の合成を促進し、毛髪の健康を向上させることが分かりました。加齢に伴う薄毛の改善や毛髪の太さを増加させる効果があり、頭皮を健康に保つためのビッグニュースとなるでしょう。
3. ヘアカラーの心理的影響
山本佐和子氏による研究は、ヘアカラーが精神的状態に与える影響に焦点を当てています。脳波を用いた実験で、アンモニアを含むヘアカラーが強い不快感を引き起こすことが判明。この知見は、今後のヘアカラー製品の改良に貢献する可能性があります。消費者の体験を深く理解するための重要な情報を提供してくれます。
4. ポリイオンコンプレックス技術
最後に、茂垣里奈氏が提唱する「ポリイオンコンプレックス(PIC)」技術について。この技術は、天然由来の化合物を利用し、化粧下地としての機能を持ちつつ、皮膚の保湿やハリを改善する効果があります。ひと塗りで手軽に、長時間持続する効果を実現しました。
ロレアル R&Iジャパンの役割
ロレアル リサーチ&イノベーション ジャパンは、日本における化粧品の研究開発拠点として重要な役割を果たしています。1983年に設立されたこの研究所では、200人を超える研究者が、美容業界に革新をもたらすための技術を日々模索しています。見逃せない成果を、心待ちにしながらこれからも応援したいですね。
これらの革新技術は、未来の美容を大きく変える可能性を秘めています。ロレアルが化粧品技術にどのような新たな潮流をもたらすのか、目が離せません。