シンガポールで進化する「ミラースキン™」化粧品技術の実用化について

ポーラ化成工業株式会社が、シンガポールの拠点で「ミラースキン™」の実用化に向けた研究を本格的に開始しました。この技術は、個々の肌の特性を忠実に再現した培養皮膚組織を基に、肌に最適な化粧品を開発することを目的としています。それによって、より効果的な化粧品の提供が可能になるのです。

ミラースキンとは？

「ミラースキン™」は、その人特有の肌を再現した培養皮膚組織です。患者から採取した細胞をiPS細胞に変換し、それを基にして皮膚組織を育成します。この技術により、肌トラブルの原因や反応を詳細に解析し、一人ひとりの肌に最も適した成分を見つけ出すことが可能になります。

2024年10月にはこの技術が第34回国際化粧品技術者会連盟世界大会で優秀賞を受賞しました。これは、新たな化粧品開発技術の可能性を示しています。

技術進化に向けた2つの取り組み

シンガポール拠点における研究では、2つの大きな技術進化が必要とされています。第一に、化粧品成分の評価に適した培養皮膚組織を開発すること。第二に、品質が一貫したミラースキンの大量培養を実現することです。

これを実現するため、シンガポールの国立研究機関であるシンガポール科学技術研究庁（A*STAR）との連携が進められています。具体的には、シンガポール皮膚研究所と協力し、化粧品成分評価に適した組織を改良しつつ、製造技術研究院とも連携して培養の自動化も進行中です。自動化により、品質統一された大量のミラースキンを効率的に培養できます。これによって化粧品開発のスピードが一段と上がることでしょう。

三拠点体制で研究を加速

ポーラ化成工業は、2024年から湘南、シンガポール、横浜の三拠点での研究体制をスタートしました。それぞれの拠点は異なる強みを持ち、湘南では皮膚・再生医療の基礎研究、シンガポールでは技術の実用化、横浜では化粧品開発に注力しています。このような連携を強化することで、新しい価値の迅速な創出を目指しています。

商品やサービスとしての提供は、創業100周年を迎える2029年までを予定しており、それに向けた取り組みは着実に進行しています。ポーラ化成工業が目指すのは、個々の人に合わせたパーソナライズされた化粧品の実現です。この革新は、化粧品業界に大きな変化をもたらすと期待されています。化粧品には、肌への影響を考慮したカスタマイズが求められる時代が到来しました。私たちの美と健康に寄与するため、今後の研究と技術の発展に注目していきましょう。