伝統芸能従事者の安全を守るための第一歩
日本の文化を支える伝統芸能。その魅力を伝える舞台の背後には、高齢化や担い手不足といった深刻な課題が存在します。特に、舞台に関わる従事者たちは、重量のある大道具や高座など、危険な環境下で常に事故や怪我のリスクにさらされています。このような中、株式会社生活と舞踊は、2025年2月28日に業界初の「伝統芸能従事者のための安全講習」を開催することを発表しました。
講習の背景と目的
近年、伝統芸能界では作業環境への意識が低く、事故の発生が懸念されています。特に若手の担い手不足が顕著になっており、経験豊かな年長者からの指導も減少しています。これにより従事者は、重要な安全知識を学ぶ機会を失い、事故のリスクがさらに高まっているのです。将来にわたり、安心して舞台に立つことができるよう、業界全体での取り組みが求められています。
この講習では、専門家からの学びを通じて、従事者自身やその大切な弟子たちを守るための知識を得ることが目的です。講師には、一般社団法人日本芸能従事者協会の代表理事である俳優・森崎めぐみさんや、産業医の弥富耕平さんが参加します。
講習概要
講習会のテーマは「大切な人とあなたを守る伝統芸能従事者のための安全講習」です。具体的には以下の内容が予定されています:
- - 舞台や稽古場のリスク:従事者が日常で直面するリスクや過去の事故例について。
- - 安全衛生の法律:公演主催者が知っておくべき法律やガイドラインの解説。
- - 労災保険について:令和3年から芸能従事者が加入できる労災保険についての詳細。
- - 他業界の先行事例:演劇界や映画界の安全衛生への取り組みを紹介。
開催日時は2025年2月28日(金)18:30から20:30で、会場は東京都新宿区四谷のTIME SHARING 四谷9Aです。参加はハイブリッド形式で、会場参加の他、Zoomによるオンライン参加も可能です。
伝統芸能の現実と課題
最近の実態アンケートによると、業界内では長時間労働や上下関係に起因する自由な意見を言えない環境が、事故や精神疾患の原因と言われています。実際に、舞台組み立て中に事故が発生した事例や、師匠からのパワハラを経験したとの回答も多く見受けられました。これらの問題は、業界全体で解決に向けた取り組みが急務です。
安全な環境作りへ
伝統芸能を支える一人一人が安心して活動できる環境を整えることは、今後の業界の存続にもつながります。今回の安全講習は、その第一歩となることを目指しています。まさに、伝統を守り、次世代へ繋げていくための取り組みです。
参加希望の方や取材希望の方は、お気軽にお問い合わせください。安全に関する知識を学ぶことで、より良い舞台を作り上げていくための大切な一歩を踏み出しましょう。