ナタデココを使用した新感覚のウェディングドレス
近年、環境問題への関心が高まる中、食品製造の副産物を芸術作品に変える取り組みが注目を集めています。フジッコ株式会社が製造するナタデココの端材を素材として活用したウェディングドレスが、2025年に開催される「DESIGNART TOKYO 2025」に出展され、多くの来場者の目を引きました。この美しいドレスは、九州大学大学院芸術工学研究院の田羅義史助教によってデザインされました。
ナタデココの魅力と歴史
ナタデココはフィリピンの伝統的な発酵食品で、酢酸菌の発酵によって作られるバクテリアセルロースです。フジッコは1993年から日本国内でナタデココを唯一製造しており、品質管理にも力を入れています。ナタデココは、その優れた食感や見た目から、デザートだけでなく、美容やアートの分野にも進出しています。
例えば、ナタデココは保水性が高いため、美容液を含浸したフェイスマスクや文房具としての用途にも重宝されています。また、端材を利用したノートや名刺も人気で、食品以外の分野でもその活用が期待されています。
持続可能性を考えたアートプロジェクト
「DESIGNART TOKYO 2025」では、ナタデココの持つ透明感と柔軟性を生かした新たな表現が求められました。田羅助教は、ナタデココの特徴を最大限に活かし、唯一無二のウェディングドレスとして具現化しました。このドレスは、美しさだけでなく、環境への配慮と持続可能性を訴える作品としても評価されています。
デザインは、ナタデココの網状構造を生かしたフリルが特徴で、その柔らかな表情は観る人を魅了します。また、ゴミとして廃棄されてしまう運命だった端材を使用することで、循環型社会への新たな挑戦として位置づけられています。
イベントと展示情報
「DESIGNART TOKYO 2025」は、2025年10月31日から11月9日の期間に開催されます。会場は表参道、外苑前、原宿、渋谷、六本木、銀座エリアなど、多くの人が行き交う地域です。この機会に、ナタデココが作り出した美しいドレスをぜひ見に行ってほしいです。
展示名は「ここの交差展」で、出展者は田羅義史と蒲原凪がチームを組んで挑みます。このプロジェクトは、食とアートの融合を目指しており、来場者に新たな視点を提供する機会になることでしょう。
将来に向けて
フジッコは、ナタデココの新たな用途開発を進めることで、持続可能な社会を目指す努力を続けています。企業理念である「おいしさ、けんこう、つぎつぎ、わくわく」を掲げ、未来に向けた価値創造を実現することを目指しています。環境に優しい素材の開発を求める声は、今後さらに高まることでしょう。
このように、ナタデココを利用したウェディングドレスは、単なるアート作品ではなく、環境問題について考えるきっかけになるプロジェクトです。ぜひ、今後の展開にも注目していきたいと思います。