ファッション透明性インデックス脱炭素編が示す業界の未来と課題

FASHION REVOLUTION JAPANが発表した「ファッション透明性インデックス脱炭素編 -What Fuels Fashion?-」は、世界最大のファッションブランド250社を対象にした重要なレポートです。この特別版は、自然環境と人権への取り組み情報の透明性を評価することで、業界の脱炭素化に関する課題に焦点を当てています。日本国内の事業者や生活者、行政など様々なステークホルダーに向けて、業界の現状とそれが未来にどうつながるかを理解し、それに基づいて行動を促すことが期待されています。

What Fuels Fashion? 目的と背景

レポートのタイトルである「What Fuels Fashion?」は、ファッション業界の持続可能性に対する真剣な問いかけを反映しています。本特別版の目的は、気候危機への対応を加速させ、業界の透明性を高めることです。具体的には以下の目標を掲げています。

- 気候危機のさまざまな影響を直視し、それに対する緊急性を広く認知。
- ブランドのトレーサビリティや取り組みを分析。
- 脱炭素化に関する目標や戦略を詳細に開示させる。
- 利害関係者が気候変動に対して行動を起こすためのデータを提供。
- 社会的・環境的課題に対する認識を高め、行動につなげる。

脱炭素に特化した5つの主要テーマ

このレポートでは、脱炭素化の具体的なアクションを評価するために、五つの主要テーマに基づいて調査を実施しました。以下のテーマが重要視されています。

1. 説明責任 - 各ブランドの気候変動に対する透明性。
2. 脱炭素化の目標設定 - 温室効果ガスの排出削減目標とその進捗の評価。
3. エネルギー調達 - 再生可能エネルギーの導入状況。
4. 資金調達 - 脱炭素化に必要な資金の透明性。
5. 公正な移行 - 再生可能エネルギーへの移行が与える影響を考慮した提案。

透明性の重要性

FASHION REVOLUTIONは、7年前から透明性の調査を行ってきましたが、多くのブランドは依然として情報公開に消極的です。透明性は持続可能性の第一歩であり、業界が正しい方向へ進むためには必要不可欠です。このレポートは、透明性を向上させながら、業界全体の説明責任を強化することの重要性を示しています。

現状の課題

最新の調査によると、主要なブランドの47%が排出削減目標を掲げる一方で、具体的な進捗を示しているのは一部に過ぎません。また、86%のブランドは石炭の廃止目標を持っておらず、再生可能エネルギーへの移行にも苦しんでいます。

特にここで問題視されているのは、気候目標の透明性と説明責任です。58%のブランドが進展を示しておらず、サプライチェーン内のエネルギーミックスに関する情報公開も不足しています。これにより、業界全体の信頼性が損なわれています。

脱炭素化の障害

ファッション業界の脱炭素化を進めるには、サプライチェーン全体のトレーサビリティが必要です。しかし、わずか52%のブランドしか一次サプライヤーの工場リストを公開していません。特にカーボンフットプリントの情報を公開しているブランドは少なく、89%が年間の生産数を非公開としています。このような不透明さが、実際の環境負荷の軽減に向けた進展を妨害しています。

サステナブルなファッションとその実情

ファッション業界の気候変動への影響を考える際、持続可能な素材の使用に焦点が当てられがちですが、サプライチェーンでのエネルギー源も重要です。58%のブランドが持続可能な素材使用を謳う一方で、サプライチェーンのエネルギー源公開は11%に留まっています。この結果、多くのサステナブルな製品が実は化石燃料を使用している可能性があります。