音楽療法の新たな視点を探る一冊『音楽療法は科学になり得るか`
音楽療法は、耳に心地よいメロディや歌といった「癒し」の側面が強調されがちですが、その実、音楽の持つ力はもっと深いものです。龍野弘毅著の『音楽療法は科学になり得るか』では、音楽が脳や心に及ぼす影響について科学的視点から迫り、音楽療法の重要性を再認識させられる一冊となっています。
音楽の力を科学で解き明かす
本書では、古くから人類の生活に密接に結びついている音楽が、どのように脳や感情に影響を与えるのかが詳しく解説されています。その背景には、心理学や経済学の知見もあり、音楽が人々の共感やコミュニケーションを生み出す機能を持っていることを指摘しています。
たとえば、好きな音楽を聴いたり、一緒に歌ったりすることで分泌されるドーパミンがもたらす快感。また、応援歌や校歌など、特定の場面で歌われる音楽が、人々を一つにまとめる力を持っていることも、脳の構造と機能に基づいて説明されています。これは、音楽が持つ集団の結束力を科学的に証明する魅力的な内容です。
音楽療法士に必要なスキル
音楽療法は単なるセッションではありません。クライアントの感情を理解するためには、音楽の刺激や鎮静の効果を巧みに使いこなさなければなりません。本書では、特に音楽療法士に求められる「音楽を使いこなす力」を掘り下げています。即興音楽の取り入れ方やセッションにおける音楽の活用法についても具体的に示されており、実践的な視点からのアドバイスが豊富です。
どんな人におすすめ?
- - 音楽療法士や音楽教育に従事している方
- - 音楽と脳、心理学の関係を深く理解したい方
- - 発達障害や認知症のケアに音楽を活用したいと考えている方
この本は幅広い読者に向けて書かれており、音楽療法に関心のある方々にとって、知識を深める絶好の機会となるでしょう。
著者からのメッセージ
著者の龍野弘毅は、本書を通じて、音楽療法が医学だけでなく心理学や社会学の視点も必要であると訴えています。音楽の力を実感し、それを実践に取り入れるための手引きとして、この本が一助となることを願っています。
著者プロフィール
龍野弘毅は、日本音楽療法学会認定音楽療法士。音楽の道を志し大阪音楽大学を卒業後、さまざまな音楽的活動を経て音楽療法に携わるようになりました。長年にわたる経験と研究を基に、本書は音楽療法に新たな視点を提供しています。
書籍情報
- - 書名: 音楽療法は科学になり得るか
- - 著者: 龍野弘毅
- - 出版社: パレード
- - 発売日: 2025年5月7日
- - ISBN: 978-4-86522-444-3
- - 価格: 1,980円(税込)
音楽療法の理解を深め、実践的な知識を得るために、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。