真皮の抗シミ因子「sFRP1」の発見
最近、株式会社コーセーは米国シンシナティ大学のZalfa A. Abdel-Malek教授と共同で、新たなシミ形成のメカニズムを解明しました。本研究では、真皮に存在する抗シミ因子「sFRP1」が、線維芽細胞から分泌されるタンパク質であることが明らかになりました。この発見により、シミの原因が表皮だけではなく、真皮にも関与していることが示されたのです。
 シミの新たなメカニズム
多くの人が抱える肌悩みの一つであるシミ。その主な原因として紫外線ダメージや加齢が挙げられ、これまでの研究では主に表皮の変化が考えられてきました。しかし、シミの再発や悪化が見られることから、真皮の役割に注目が集まりました。真皮の細胞老化がsFRP1の減少を引き起こし、それがメラニンの過剰生成に繋がるという新しい知見が得られたのです。
 具体的な研究内容
本研究では、まずシミのある部位と健康な肌から真皮のサンプルを採取し、18,812個の遺伝子の発現量を調査しました。その結果、シミ部位ではsFRP1の量が顕著に減少していることが確認されました。sFRP1はメラノサイトの機能を制御する重要なタンパク質であり、その減少がシミ形成に関与していることが明らかになったのです。
さらに、sFRP1がメラノサイトの活性化を抑制することも実験により確認されました。3次元皮膚モデルでの実験では、sFRP1を添加することで表皮のメラニン量が減少し、色素沈着が抑制されることが示されたのです。これにより、sFRP1は真皮における「抗シミ因子」としての役割を担うことが分かりました。
 グリーンルイボスエキスの効果
研究の中で注目されたのが、南アフリカ原産のグリーンルイボスエキスです。このエキスには豊富なポリフェノールが含まれ、抗酸化作用や抗炎症作用が期待されています。実験の結果、グリーンルイボスエキスが真皮の線維芽細胞においてsFRP1の発現を有意に増加させることが確認されました。
 未来の展望
この研究の発表は、第35回国際化粧品技術者会連盟学術大会で行われる予定です。今後は、この発見を基にした新しいスキンケア商品の開発が期待されます。真皮に着目したアプローチは、これまでのシミ研究とは一線を画するものであり、今後の展開が楽しみです。肌の悩み解消に向けて、さらなる研究が続くことでしょう。
今回の発見は、しつこいシミに対する新しい手法を提供し、化粧品業界に革新をもたらす可能性を秘めています。私たちの美肌のために、これからも研究と開発が続けられることでしょう。