高級繊維と環境意識の融合
近年、環境への配慮が求められる中、アパレル業界でも持続可能性が重要なテーマとなっています。そんな中、Spiber株式会社が新たに展開する「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」ファイバーは、その名の通り、植物由来の原料を使い、革新的な発酵技術で生まれた新たなテキスタイル素材です。2023年、Spiberはイタリアの高級繊維メーカー2社、Manifattura Sesia社とAchille Pinto社とのパートナーシップを発表しました。この新しい協業により、アパレル業界における持続可能な素材開発が加速することが期待されています。
Manifattura Sesiaとのコラボレーション
この提携の一環として、Spiberは、Manifattura Sesiaとの協業で、Brewed Protein™ファイバーを30%含む「T-Gen(Technological Generation Yarns)」という新たな糸を開発しました。この糸は、責任ある素材選びで知られるRWS(Responsible Wool Standard)およびNativa認証のメリノウールと組み合わさり、高品質な仕上がりとなっています。
クリエイティブディレクターのキアラ・セッラ氏は、「手触りが非常にソフトで、純ウールと比較しても軽い特性を持っている」とその魅力を語ります。T-Genは3つのバリエーションが用意されており、応用範囲が広いことも特徴です。これは、持続可能なテキスタイルソリューションの新しいスタンダードを示すものとなっています。
Achille Pintoとの協業
そして、Achille Pinto社との協業では、Brewed Protein™ファイバーを15~30%含む新しい生地コレクションも発表されました。特に注目すべきは、Brewed Protein™ファイバーとシルクを組み合わせた生地とその印刷技術です。これは欧州で初めての試みで、スカーフやショールなどのアクセサリーに最適で、カスタマイズにも対応しています。お客様のニーズに応じた仕様が可能なのも魅力的です。
既存パートナーとの展開
さらに、Spiberの既存のパートナー企業も、この提携にあたって新たな糸や生地コレクションを披露しました。Zegna Baruffa Lane Borgosesiaは、Brewed Protein™ファイバーを使用した新たな糸を2種類開発し、これらは高品質ニット用途にぴったりです。また、Botto Giuseppeは100%のBrewed Protein™ファイバーを用いた糸をリニューアルし、前シーズンの流れを引き継いでいます。
繊維界における変革
愛知県の繊維専門商社、瀧定名古屋株式会社は、100%のBrewed Protein™ファイバーを用いたスーツ用生地や高いプロテイン含有率のデニム生地を開発しました。この動きは、アパレル業界全体における新しい挑戦と持続可能性への意識を高めています。
未来への取り組み
これらの新たな糸や生地は、ニット糸や生地の見本市「Pitti Filati」や高付加価値テキスタイル見本市「Milano Unica」にて展示され、注目されることでしょう。Spiberは、これらの協業を通じて欧州における存在感を高め、人々に愛される持続可能なアパレルを提供する計画を進めています。
Brewed Protein™ファイバーは、シルクやカシミアの特性を兼ね備えながら、環境への負担を軽減する可能性を持つ新たな素材です。これからのファッション界の基準を変えていく、その最前線に立つ未来に期待が寄せられています。