持続可能な未来をつくる奈良漬製造の挑戦と新たな価値創造
奈良県にある奈良屋本店は、2022年にSDGsを宣言し、2025年に「奈良県SDGs企業認証制度」の上位区分であるアドバンス企業に認定されました。この認定は、特に環境に優しい取り組みが評価された結果です。
地産地消の実践
奈良屋本店では、創業から75年以上経た今もなお、奈良産の野菜を使用した奈良漬の製造を手掛けています。25年前から地産地消を実践し、生産者との信頼関係を築きながら、大和丸茄子や三尺胡瓜など、地域の伝統的な野菜の栽培を復活させました。酒粕には、地元の春鹿酒造の清酒粕を使用し、奈良の水が育んだ素材の味わいを引き出しています。
アップサイクルと循環型社会の実現
使用済み酒粕のアップサイクルにも力を入れており、これを堆肥や土壌改良材として再利用する企業努力が評価されています。これにより、循環型社会の実現に向けた具体的なステップを踏んでいるのです。奈良屋本店は、今後の環境負荷低減の効果を見える化するため、年間処理量の数値化にも取り組んでいきます。
JAS認定と品質保持
奈良屋本店は、奈良県内で唯一JAS認証を取得した奈良漬メーカーです。全工程を地元で完結し、厳格な品質基準を満たすことで、安全で安心な製品を消費者に提供しています。これにより、伝統的な奈良漬の品質が保たれ、次世代へと受け継がれていくのです。
科学的裏付けによる美味しさの探求
奈良屋本店は、奈良先端科学技術大学院大学との共同研究を通じて、自社の奈良漬に「フルクチバシラス・フルクチボランス」という乳酸菌が含まれていることを確認しました。これらの菌は、発酵過程においてまろやかさや深いコクを形成する要素であり、奈良漬らしい風味の向上に寄与しています。これまで1300年間愛され続けてきた理由にも繋がります。
新たな挑戦と地域との連携
最近では、従来の瓜や胡瓜に加え、奈良特産の「古都華いちご」を用いた奈良漬の製造にも挑戦しています。この新たな試みは、酒粕の香りといちごの甘酸っぱさが絶妙に交わり、今までにないデザート感覚の味わいを生み出しています。また、自然農法による菊芋やヤーコンの研究も行い、ズッキーニ奈良漬は既に商品化され、大変な評判を得ているのです。
奈良文化を伝える新パッケージ
さらに、約400年の歴史を持つ赤膚焼・大塩正人窯とコラボレーションし、奈良の伝統的な美を反映した新しいパッケージデザインも検討中です。奈良漬を単なる食品から、奈良文化を伝える贈り物として提案することで、観光客やギフト需要にも応えていきます。
未来へのビジョン
農産物の自給率が全国ワースト3という厳しい現実を直視する中で、奈良屋本店は「奈良野菜を奈良の伝統食品に」という理念の下、さらなる地域農業との連携を深めていく計画です。効率ではなく“効果的”なものづくりを追求し、奈良の魅力を世界へ発信することを目指しています。これからも奈良漬文化を未来へと繋げるために、さまざまな取り組みを続けていくでしょう。
会社概要
- - 社名: 奈良屋本店
- - 所在地: 奈良市紀寺町1060
- - 事業内容: 奈良漬製造販売(奈良産野菜と春鹿酒造の酒粕を使用)、酒粕のアップサイクル事業
- - 認証: 奈良県唯一のJAS認定奈良漬メーカー、奈良県SDGsアドバンス認証
- - Webサイト: 奈良屋本店
お問い合わせ先
- - TEL: 0742-22-4163
- - E-mail: naraya@m3.kcn.ne.jp