使用済み靴下のケミカルリサイクル実験が示す新たな未来
私たちの日常生活には、実に多くの繊維製品が存在し、その中でも特に下着や靴下は消耗品として最も需要が高いアイテムです。しかし、その廃棄率も高く、実はこれらのアイテムがリサイクルされることは非常に少ないのが現実です。そこで注目されているのが、Bioworks株式会社が行った使用済み靴下を対象としたケミカルリサイクルの実証実験です。
環境問題とファッション業界の現状
繊維のリサイクル率は世界全体で1%未満という衝撃的な数字が示すように、ファッション業界にはまだ多くの課題が残されています。特に靴下や下着といった消耗品は、購入頻度が非常に高いにも関わらず、リサイクルやリユースされる割合が10%を下回るというデータもあります。このままでは、環境への負担が増える一方です。
このような背景から、Bioworksは靴下をリサイクルの対象として選び、回収・リサイクルの実証実験を開始しました。使用済み靴下を新素材のポリ乳酸へと生まれ変わらせることで、環境負荷の軽減を目指しています。
実証実験の内容と成果
この実証実験では、Bioworksが開発した「PlaX」という次世代合成繊維を用いた靴下を、特定の商業施設で消費者に配布し、一定期間使用後に回収しました。回収した靴下は、その後ケミカルリサイクルを経てポリ乳酸に再生されるという流れです。
ラボスケールからパイロットスケールまで段階的に行われたプロセスでは、いずれの段階でも高品質な再資源化素材が得られることが確認されました。使用済み靴下が新たな原料へと蘇る可能性がこの実験によって見えたのです。さらに、リサイクル原料を使用した靴下は、従来のバージン原料と比較してもCO2排出量を約9%削減できるとの分析結果も出ています。
参加者の心理的ハードルを克服
靴下のリサイクルには、消費者が感じる心理的な抵抗が存在します。「汚れた靴下を誰かに見られたくない」といった感情がその一因です。Bioworksではそんなハードルをクリアするために、ポリ乳酸製の回収袋を使用し、参加者が容易に使用済み靴下を投函できるシステムを導入しました。
実際のアンケート調査では、70.8%の参加者が「不安や不快感を感じなかった」と回答し、心理的な負荷が低いことが示されました。また、93.7%の参加者が今後同様のリサイクルプログラムがあれば利用したい意向を示すなど、高い需要があることも分かりました。
PlaXの特性と未来の展望
「PlaX」は、植物由来のバイオマス素材で作られており、従来の合成繊維に比べてCO2排出や水の使用量を大幅に削減できる特性を持っています。そのため、今後の持続可能なファッションにも大きく貢献できるでしょう。Bioworksでは、これからもリサイクルの方法を模索しながら、持続可能なビジネスモデルを確立していくという目標を掲げています。
私たちの日常に多く存在する消耗品である靴下をリサイクルできる未来、そしてそれを通じて環境への配慮が進むことが期待されます。これからも、Bioworksの活動に注目していきたいですね。