海藻が生む海の力
2024-12-18 16:18:37

海藻養殖の生態系への影響を探る新たな調査とその成果

海藻養殖の生態系への影響を探る新たな調査とその成果



自然界における海藻の役割に注目が集まり続けています。ここ数年、特に環境問題が深刻化する中で、海藻の養殖が海の生態系の回復に寄与することが多くの研究で確認されています。この度、一般社団法人グッドシーが発表した「GOOD SEA Future Report」は、海藻養殖の重要性を改めて浮き彫りにしたデータを示しています。

調査の背景と目的



海藻が生息する浅い海域は、多くの水生生物にとって欠かせない生活の場であり、産卵や幼魚の成育に必要な環境を提供しています。しかし、地球温暖化や藻食魚、ウニなどによる食害の影響を受け、これらの藻場は大幅に減少しています。環境省の調査によると、天然藻場は27年間で約16万haも減少し、最近では「磯焼け」現象が深刻化しています。このような中、グッドシーは自らの調査を通じて、人工的に作られた「養殖藻場」が生態系にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目指しました。

調査は、公益財団法人日本財団の支援のもと、2023年から2024年の間に国内の3か所で実施されました。具体的には、北海道函館市のコンブ、愛媛県今治市のヒジキ、熊本県天草市のトサカノリにおいて、海藻養殖が生態系へ与える影響を定量的に評価しました。

調査方法と結果



調査では、2地点を設けて一方を養殖場、もう一方を未養殖エリアとし、両者の生態系の違いを比較しました。調査期間は2023年11月から2024年7月。各地での調査結果は非常に興味深いものでした。養殖藻場での生物量は、未養殖領域と比較して顕著に増加していることが確認され、最大で400万から2億個体の動物が養殖場内で観測されました。この調査結果から、海藻の養殖がもたらす生態系への貢献が quantitatively示されたのです。

消費者の意識と海藻の評価



加えて、グッドシーは消費者の海藻に関する意識調査も実施しました。全国で10,300人を対象とし、海藻の栄養価や健康への影響に対する評価を尋ねました。その結果、「料理のバリエーションが少ないこと」が約48%の人々にとって海藻のネガティブなイメージとして挙げられ、一方で80%以上の参加者は海藻を食べる意欲があると回答しました。これは、海藻の栄養素や生態系へのポジティブな影響を広めることで、消費を促進できる可能性があることを示しています。

海藻が未来を形作る



今回の調査を通じて、海藻養殖の重要性はますます高まっています。養殖藻場を広げることができれば、天然藻場の減少を補うだけでなく、魚類の個体数も増やせることが示唆されています。将来的には、日本全国で海藻の食文化を復活・発展させるためのプランも進行中です。さらに、企業活動が海藻関連の事業開発や社会貢献にどのように寄与できるのかについて議論するイベントも企画されています。この取り組みは、海の持続可能な開発目標(SDGs)にも大きく貢献するでしょう。

まとめ



海藻はただの食材ではなく、私たちの持続可能な未来を形作る重要な資源です。海藻養殖を通じて生物多様性を維持し、地域の食文化を豊かにするために、私たち一人一人が関心を持ち、行動を起こすことが求められています。


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