環境に優しい循環型学生服の新たな挑戦
2024年に開催される「エコプロ2024」では、カンコー学生工学研究所が未来の学生服として注目の「循環型学生服」を展示します。この制服は、リユースとリサイクルの可能性を最大限に引き出したデザインが特徴で、環境への配慮が強く反映されています。これまで学校の制服は、丈夫さを重視し、3年間の着用が想定されてきました。しかし、近年の環境問題に対する意識の高まりにより、学生服にもサステナブルな要素が求められています。
繊維業界の抱える課題
今日の繊維業界は、CO2排出や大量生産・廃棄の問題に直面しています。学校制服の問題点として、成長に伴う買い替え、リユース作業の負担、更にはリサイクルの難しさが挙げられます。特に制服は複数の素材が組み合わさっているため、リサイクルプロセスが複雑で、手間がかかります。そこで、カンコーは制服の設計段階から再利用と再生の視点を取り入れ、革新的な「循環型学生服」を生み出しました。
循環型学生服が目指すもの
この新しい学生服の大きな特徴は、「リユースしやすいデザイン」「リサイクルしやすい素材」「リユース・リサイクルの促進」という3つの柱から成り立っています。ゆったりとした男女兼用のデザインは、成長を考慮した大きめのサイズ選びを可能にし、卒業後のリユースを容易にします。また、アイロン不要のシワ加工を施しているため、扱いやすさも向上しています。
リサイクルに関しては、制服の構成要素をポリエステルで統一する「モノマテリアル化」を採用することで、分別作業の負担を軽減しています。そして、使用する素材には再生PETや植物由来の原料がふんだんに使用されており、環境への配慮が顕著です。また、独自の染料(例:ブレザーはたまねぎ、シャツはお米から)を用いることで、廃棄物のリユースも実現しています。
移り変わる学生服の価値
今回の展示においては、サステナブルに意識を持つ若手デザイナー中野未咲希氏が共同で関わっており、自然環境に配慮したデザインへ強い思いが込められています。学生服を通じて、環境問題に対する理解を深め、次世代に向けた価値を伝えることが重要であると感じています。
さらに、重視されるのは学生と保護者がどのようにして制服を見つめ直し、理解しやすい形で情報提供ができるかです。ブレザーの内側にはお手入れ方法やリユース・リサイクルのプロセスが印刷されており、使用する側が自然にその流れを把握できる工夫がなされています。
最後に
「循環型学生服」は、ただの制服ではなく、環境負荷を軽減し、未来に向けた持続可能な社会を築くためのツールです。私たちが身に着けるものを大切にし、長く使うことの重要性をこれからの学生たちに伝えていくことが、環境意識を高める第一歩となるでしょう。カンコー学生工学研究所の取り組みは、まさにその未来を形作るための小さな一歩であり、今後の展開が楽しみです。