数々の多彩なアーティストが登場し、オーディエンスを魅了したこのイベントの模様をお届けします。
夜の幕開けを飾ったのは、スイス・ジュネーヴを拠点に活動するバンド「L'Osmose(ロスモス)」です。2020年に結成された彼らは、MJFレジデンシーに参加し、観客からの支持を受けて受賞歴もあります。この日は、初来日ステージとして、彼らのデビュー・アルバム『Maggiore 800』や、最新作の『First Dog』から選りすぐりの楽曲を披露しました。
最初の曲「IN PARADISE」が始まると、メンバーは上半身を揺らし、強烈なサウンドを生み出します。エレキギターやベース、パーカッション、アナログ・シンセサイザー、そしてボコーダーを駆使したその音楽は、ジャズやサイケデリック・ロック、さらにはフォークやエスニック・ミュージックの要素を取り入れていて、聴衆を圧倒するパフォーマンスを展開しました。観客たちは歓声をあげ、初めてコンサートを体感する興奮を隠せませんでした。
続いて、独自の道を歩み続けるシンガーソングライター、さかいゆうの登場です。彼はピアノとスキャットで、観客の心を一瞬でつかむと、彼特有の歌声が空気を華やかに染め上げます。「桜の闇のシナトラ」で始まる彼のパフォーマンスは、ドラマーとの息もぴったりで、まさにクライマックスへと導きます。
さかいは続いてメジャー・デビュー曲「ストーリー」をはじめ、2008年のシングル「SHIBUYA NIGHT」、さらには観客とのコール&レスポンスを交えた連続した楽曲を披露し、場を盛り上げます。この技術は、彼の幅広い音楽性と感情表現に裏打ちされ、観客は彼に引き込まれます。
特に心に残るのは、ディアンジェロの楽曲を4曲メドレーでカバーした場面です。彼がこの曲を歌うと、まるでディアンジェロに捧げる追悼のように響き渡り、観客たちを感動させました。さかいの「君と僕の挽歌」は、まさにディアンジェロへのメモリアルソングと言えます。彼の親友への思いが伝わり、観客たちは熱い拍手を贈ります。
アンコールの際、さかいは「よさこい鳴子踊り」を披露し、客席を一体化させるような盛り上がりを見せました。さらに「アンパンマンのマーチ」で締めくくるのも、さかい流の楽しさを感じさせます。
第一日目は、L'Osmoseとさかいゆうの感動的なパフォーマンスによって、忘れられない素晴らしいスタートを切ったのです。
今後の「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2025」も、さらなる期待が高まります。