ワコールの新技術「Melooop」とは
ファッション業界が直面する環境問題。そんな中、株式会社ワコールが開発した新たなものづくりの技術「Melooop(メループ)」が注目を集めています。この技術は、メルトブロー法を用いて立体物を作成するもので、リサイクル可能な単一素材での生産を実現しています。このアプローチは、環境負荷を軽減することができるため、持続可能なファッションの未来に大きく寄与しています。
「Melooop」の背景と開発の経緯
「Melooop」は、従来のカットソーやモールド成型では解決できなかった、多くの廃棄物を生み出す問題に対処するために生まれました。2020年に実用化され、ブラジャーのカップ部分の生産に活用されています。約6平方メートルのスペースには、吹付装置と3体のロボットアームが配置され、これにより精密に形状や厚さ、伸度を調整することが可能です。特に、この技術では不要なパーツが再生可能な原料に戻されるため、廃棄物をゼロにすることができます。
具体的な開発の流れ
1.
原料の準備:樹脂ペレットに染料や顔料を加え、着色が可能な状態にします。
2.
成型プロセス:熱された樹脂が極細繊維化され、型に丁寧に吹き付けられます。これによって、立体的な形に成型されます。
3.
ロボットによる制御:ロボットが動くことで、吹付けの距離や場所、時間を変え、形状や硬さを調整します。
4.
完成:不要な部分をカットし、最終製品が仕上げられます。このプロセスで発生する廃棄物は、新たなペレットとして再資源化されます。
「Melooop」の特長
この技術にはいくつかの重要な特長があります。
- - リサイクルが容易:単一素材で作られているため、リサイクルが容易です。
- - 廃棄材料の削減:直に型に吹き付けるため、発生する廃棄物が非常に少なくなります。
- - 染色不要:熱プロセスで型に吹き付ける際から色をつけることができるため、従来の染色プロセスが不要です。
- - 小ロット生産に最適:3Dプリンターで型を作成できるため、金型が不要で小ロットでの生産が可能です。
経済産業省との協力と未来への展望
2024年からは、経済産業省が主催する「みらいのファッション人材育成プログラム」にも参加し、さらなる活用の道を模索しています。このプログラムを通じて、ファッションブランド「doublet」とのコラボレーションが実現し、2025年秋冬パリメンズコレクションで新たなアイテムが発表される予定です。
まとめ
「Melooop」はワコールが持つ技術革新と環境への責任感を象徴するプロジェクトです。持続可能なファッションの未来を見据えたこの技術の発展に期待が寄せられています。これからのファッション界において、もっと多くのブランドがこれらの技術を取り入れ、環境への配慮を示していくことが求められるでしょう。私たちもその変化に注目していきたいと思います。