エトロ2025秋冬コレクション
エトロの2025年秋冬コレクションは、古代エジプトの神話や創造の起源を掘り下げる幻想的なデザインが印象的です。今回のコレクションでは、特に「ヌメロ・クロマティコ(Numero Cromatico)」というアート・コレクティブとのコラボレーションが光ります。
生命の起源を表現したデザイン
コレクションの背後には、古代エジプトの神話が隠れています。神ラーの涙が蜜を作り出し、すべての生命の起源を示唆しています。この神話的なテーマは、ただのデザインではなく、人類の創造の過程について考えさせるものです。
デザイナーのマルコ・デ・ヴィンチェンツォは、素材の持つ自然な形を模索し、原初的な世界の息吹を織り込んだコレクションを発表しました。触れることで感じられる立体感や質感が特徴です。彼のデザインは、流れるようなシルエットが体のラインに寄り添い、ショートやロング、アシンメトリーなど、さまざまな形状を生み出します。
幻想的な動物寓話集
「動物寓話集(ベスティアリウム)」というコンセプトによって、神話と現実の動物が共存し、進化の神秘が表現されています。デニムやコーデュロイの上を這う幻想的な植物の模様が、まるで生命が新たに芽吹いているかのようです。ブラッシュ加工のウールや刺繍が施されたセーターが、より一層このテーマを強調しています。
さらに、プリーツでウエストを強調したデザインが、まるで生命の鼓動を感じさせるかのようです。スパンコールが煌めく幾何学的ファセットも、新たな次元を生み出します。
マリア・ジョンとのコラボレーション
今季の目を引くポイントとして、韓国のアーティスト、マリア・ジョンとのコラボレーションがあります。彼女の創り出す幻想的な花の刺繍は、衣服やバッグに命を吹き込みます。柔らかく丸みを帯びたフォルムから、クリーンでシャープなラインまで、多様なスタイルで展開されます。
マリア・ジョンは、ソウルを拠点に活動し、東西の美学を融合させた独自のアートを追求しています。彼女の作品は、植物と人間の関係をテーマにし、色や形の実験を通じて、視覚的に美しいものを生み出しています。グリーンリーフから始まり、花、キノコ、昆虫など多様なテーマが展開されます。
生き物のようなジュエリー
ジュエリーのコレクションも、「エトロ」の魅力を引き立てています。琥珀に閉じ込められた蜂を模した、異星から来たような生き物のデザインが神秘的な輝きを放ち、コレクションに独特の魔法を加えています。
野性味あふれる素材
荒々しく無垢なウールファーは、原始的な風景を連想させ、ハットやコートに取り入れられています。この自然から着想を得た素材が、ファッションの新しい側面を魅せつけます。同じモチーフがメンズウェアにも広がり、ジャケットやローブコートなどに採用されて、新たな生命を吹き込んでいます。
エトロの2025年秋冬コレクションは、まるで生き物のように変化する力強い表現とともに、私たちの想像力をかき立て、生命の本質に迫る旅へ誘います。この新たなコレクションが、どのようにファッションの未来を形成していくのか、今後の展開が楽しみです。