ファッション業界を志望する学生の意識調査
ファッション業界を目指す学生は、将来のキャリアに対し慎重な姿勢を示しています。株式会社iDAが行った調査では、志望する学生が重視する条件や懸念点が明らかになりました。この調査は、2024年10月から2025年1月にかけて、大学・大学院生や専門学校生を対象に実施され、519名の回答を元にしています。調査の結果は、2025年12月に文化学園で開催されたファッションビジネス学会の全国大会で発表されました。
就業先選びの重要ポイント
調査結果を見てみると、最も重視されている条件は「転勤なし」でした。これは、学生たちが安定した生活を求めていることを示しています。近年、経済の先行きが不透明であることも影響し、結婚を視野に入れる学生が共働きを考慮する中で、転勤を希望しない声が強まっています。次いで重視される要素は「福利厚生」と「給与の高さ」です。これらの要素は、学生がファッション業界の中でもどの企業を選ぶかを決定づけるキーとなっているのです。
インクルージョンとサステナビリティへの関心
さらに、企業選択の際に重視する社会的配慮に関する調査からは、「インクルージョン」が重要視されていることが分かります。これは、企業がどれだけ社員を平等に扱っているかに対する期待です。経済状況やダイバーシティに関する意識の高まりが影響していると言えるでしょう。「環境への取り組み」や「環境友好な製品の提供」も高い関心を集めており、ファッション業界においてもこれらの社会的責任が重要視されています。
業界の魅力と不安
一方で、ファッション業界を選ぶ際の不安要素も見逃せません。調査の結果、最も多くの回答を得た懸念点は「給料が低そう」というものでした。次に「ノルマの厳しさ」や「残業」が続いており、業界全体の給与基準が低いことから最終的に他の業界を選択する学生も見受けられます。ファッション業界の企業は、自社の条件を他業界と比較し、優秀な人材の確保に向けた対策を講じる必要があると言えます。
ファッション業界の将来に向けて
iDAの代表である堀井謙一郎氏は、魅力的なファッション業界を支えるために、より良い職場環境の構築が必要であると強調しています。また、時代の変化に柔軟に対応できる人材育成が求められているとのことです。今後は、教育機関との連携を強化し、業界の持続可能な成長に貢献していく姿勢が重要とされています。
日本女子大学の講師である勝又淳司氏は、調査を通じて業界の課題について多くの学生と接した経験をもとに、業界の未来を見据えた議論を進める必要があると語っています。
企業と求職者を繋ぐプラットフォーム
iDAのプロデュースするダイレクト転職サイト「MyBRANDS」は、ファッションやコスメ関連企業の求人情報を提供し、求職者と企業の橋渡しを行っています。ファッション業界のキャリアを志す若い世代を対象にした新卒専門サイトも展開されており、学生たちがより適切なポイントで企業と接点を持つことができるよう努めています。
あらゆる情報を活用し、学生と企業の双方からのニーズを深く理解することで、ファッション業界の持続可能な発展に寄与するための施策が期待されます。