自然と人のつながりを描くエッセイ
2023年、寿木けいさんは130年の歴史を持つ古民家を舞台に、小さな宿「遠矢山房」のオーナーシェフとして新たな人生を歩み始めました。彼女の最新作『わたしの美しい戦場』は、その人生のリアルを12章にわたって綴った心温まるエッセイです。
この書籍は、季節の移ろいとともに過ごした日々の一端を描いており、春のふきのとう摘みから始まり、夏の桃や秋の干し柿、冬の柚子蒸しといった風景が描かれています。著者が体験した自然の美しさや、その中で人々と交わる様子は、私たちにも命の大切さを教えてくれます。
料理とともに心を込めて
寿木さんは自らの調理スタイルについて、特に明け方に調理場に入って、最も感覚が研ぎ澄まされるタイミングを利用することを大切にしていると語ります。「鍋に水を張り、蕾を加えて待つ10分間。このタイミングがすべてだ」と語る彼女のこだわりは、料理に対する深い愛情を感じさせます。そして、人生における出会いの数々を通じて、彼女自身の感性もまた豊かになっていくのです。
人々との出会い
エッセイの中には、寿木さんが出会った様々な人々の人生も色濃く描かれています。妊娠中の女性や不登校の子どもを持つ親、格闘技に情熱を捧げる人、離婚を経験した人、本当に多様な人生の断面を目の当たりにし、「みんな素晴らしい人生を送っている」と感じる瞬間が彼女にとっての宝物です。
このような出会いを通じて、彼女は「季節は巡り、人生は艱難辛苦もあるけれど、その中で美しい瞬間を見つけられる」と語る寿木さん。彼女の言葉は、私たちに次のステップへの勇気を与えてくれます。
読者へのメッセージ
寿木さんの結びの言葉は、「困難な時期でも楽しみを見つけて生きる方法がある」という希望に満ちたものです。彼女は昔ながらの古民家で新たな挑戦を通じて、自らの夢を実現する姿を描き、読者にもそのメッセージを届けてくれます。
このエッセイは、思わず手に取りたくなる魅力が詰まっています。食や人とのつながりを愛するあなたに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。古民家宿で味わう独自の人間ドラマと食の美しさを存分に体験してください。
『わたしの美しい戦場』は、7月30日に新潮社から発売されます。詳しい情報は公式サイトをご覧ください。あなたもこの美しい戦場に足を踏み入れてみませんか?