深海の神秘から生まれた新技術！化粧品業界に革命をもたらすナノ乳化技術「MAGIQ」の詳細

深海の神秘から生まれた新技術！

ポーラ化成工業株式会社が、深海の熱水噴出孔から着想を得た新しいナノ乳化技術「MAGIQ」を化粧品業界に導入しました。この革新的な技術は、超微細な油滴を水に分散させることが可能で、今後の化粧品開発に大きな影響を与えると期待されています。

異分野共創から得たインスピレーション

よく知られている通り、水と油は自然に混ざり合わないものですが、化粧品においては油滴を非常に小さくし、水中に分散させる乳化技術が必要です。この「ナノエマルション」は、一般的な技術に比べて肌への浸透性が高く、高品質を保つことができます。一般的な乳化技術では、界面活性剤や強力な撹拌が必要ですが、JAMSTECの出口センター長が開発した「MAGIQ」では、自然界の深海熱水噴出孔での油と水の混ざり方を参考にしています。というのも、深海の高温・高圧環境下では水と油が自然に混ざり合う現象が起きるからです。

高速・効率的なナノエマルション製造

「MAGIQ」の大きな特徴は、わずか10秒でナノエマルションを製造できる点です。これは、従来の技術では難しかった機能性の油剤を活用することを可能にし、しかも製造コストを削減する可能性も秘めています。また、このナノ乳化技術によりエマルションのサイズも30～200nmの範囲で自在に調整できることが確認されています。

従来の技術との違い

従来の乳化方式は、油滴を物理的に砕いて小さくする「トップダウン方式」に依存していましたが、「MAGIQ」は油分子が自然に集まる「ボトムアップ方式」に基づいています。この新たなアプローチは、油分子を高温・高圧下で混合し、急速に冷却することによって実現されます。

知見を生かした研究・開発

ポーラ化成工業では、JAMSTECと京都大学との共同研究を通じて、分子シミュレーションを利用し、深海熱水噴出孔でのナノ乳化メカニズムを解明しました。この成果は、化粧品にこの技術を応用できることを証明する重要な一歩となりました。

高機能・高品質な化粧品の実現へ

ポーラ化成工業は、TDC（Technical Development Center)を拠点に異分野共創型のモノづくりに注力し、高機能で好印象な化粧品を実現することを目指しています。分子動力学や量子力学に基づくシミュレーション技術を用い、高輝度放射光施設NanoTerasuを活用して分子挙動を可視化し、革新的な化粧品開発を進めています。

これにより、ポーラ化成工業は、異分野の知見を生かして新たな化粧品の可能性を追求し続けます。