フレデリック・レセリエが描く新しいフランスのラグジュアリーとは

フレデリック・レセリエが描くラグジュアリーの新しいかたち

パリを拠点にしたデザイナー、フレデリック・レセリエの名前は、フランスのラグジュアリー界で新たな声として響いています。彼のビジョンは、「ラグジュアリーは家系のものではなく、ビジョンから生まれる」とするベトリーナミーアの理念そのもの。では、彼のデザインの背景にはどのような考えがあるのでしょうか。

クラフトマンシップと独立性を追求する歩み

フレデリックは、名門ラグジュアリーブランドの裏方としてそのキャリアを築き上げてきました。数百万から時には1,500万円を超える高級バッグを手掛け、レザーの加工や縫製技術に関するトレーニングを行ってきた彼は、業界において高い技術力を持つ人材として知られています。彼はこう語ります。「私にとっての‘最高レベル’とは名声ではなく、美しい素材を用いて情熱から生まれた作品を作り上げる力です。」

ラグジュアリーと過去への礼拝

レセリエの心の中には、次第に自身の表現を求める渇望が芽生え始めました。「ラグジュアリーは過去に固執しがちです。私はもっと魂に響くフランス的ラグジュアリーを提案したい」と彼は続けます。彼のコレクションは、アーカイブのリメイクではなく、独自の物語を描いています。

例えば、バロック期のフランスからインスパイアを受けたコレクションは、17～18世紀の優雅な建築や装飾へのオマージュで、決して単なる模倣ではありません。特に代表作のボーモンバッグは、ヴェルサイユ宮殿の庭に由来する18金のローズ型クラスプが特徴で、都市生活に合うよう現代的に再解釈されています。

創造は私的で親密な旅

「創造は非常に私的で親密な旅です」とレセリエは言います。他者の意見に左右されない、自身の内なる考えと向き合うことが大切だと強調します。彼のアプローチは懐古主義ではなく、フランスデザインの新たな定義を試みるものです。

素材と技術へのこだわり

ベトリーナミーアとの協業において、彼はフランスでデザインし、イタリアの職人たちと密接に連携して製品作りを行います。使用されるカーフレザーは、ヴィチェンツァの優れたタンナーから選び抜かれ、仕上げはシルキーな手触りと耐久性を兼ね備えています。また、製品には「イタリア原産証明書」が付随し、真正性と職人技を証明します。

近年、ラグジュアリー商品の生産背景とその品質についての意識が高まる中、彼は本物にこだわり続けています。「デザイナー自身が現場で職人たちと共に作業し、意図通りに仕上がったかを確認します。これがベトリーナミーアの品質を保証する方法です。」彼はブランドの理念を掲げるだけでなく、その実現に向けて自ら行動しています。