幻のバラ、その香りの秘密を解明
富士・箱根地方の限られた環境に自生する「サンショウバラ」は、環境省レッドリストにて「準絶滅危惧」に分類され、その美しさと希少性から「幻のバラ」と呼ばれています。しかし、その香りに関する詳細な研究はこれまでほとんど行われていませんでした。そんな中、日本メナード化粧品株式会社がサンショウバラの香りを科学的に解析するプロジェクトに着手しました。
「ナチュラルスペース法」とは?
メナード化粧品は1986年から、生きた植物の香りを可能な限りそのまま再現する「ナチュラルスペース法」の研究を進めてきました。この手法の特徴は、花を摘むことなく生花から自然な香りを採取できる点です。この方法により、希少な「サンショウバラ」の香りを守りながら分析することができました。
サンショウバラの香りを紐解く
研究チームはサンショウバラを、群馬県の赤城自然園で自然に近い状態で育てるという方法で研究を進めました。微香で上品なフローラル・パウダリー調の香りが特徴であり、多様な香気成分の中でも特に芳香族類が香り全体に大きく寄与していることが判明しました。
採取した香りは、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)を用いて詳細に分析され、95成分が同定されました。また、嗅覚を用いた評価(GC-O分析)により、香気成分の寄与度も明らかにされました。この分析から、サンショウバラの香りには、スパイシーなオイゲノールや甘さを持つバニリン、バラの主要な香り成分であるフェニルエチルアルコールが含まれ、特有の香りを形成していることがわかりました。
サンショウバラだけの香り
サンショウバラの香りの形成には、芳香族類の成分が重要で、他のバラたちが多く含むテルペノイドとは異なる特性を持っています。この香りの独自性が、希少性と共に魅力的な存在となり、多くの人々がその香りのファンとなる理由です。メナード化粧品では、この研究成果をもとにサンショウバラの香りを再現し、これを活かした新しい化粧品やフレグランス製品の開発を目指しています。
赤城自然園との連携
この研究においては、赤城自然園の協力によって、環境にも配慮した香りの採取が行われました。赤城自然園は、「人間と自然の共生」をテーマに、自然環境を尊重しながらも本来の姿を保つ森です。
こうした取り組みが、希少な植物とその香りをより深く理解し、未来の製品につながる道を開くのです。サンショウバラの香りを通じて、日本の自然の美しさとその価値を再認識するきっかけともなるでしょう。
今後もメナード化粧品の研究と商品開発に注目です。